
こんにちは、ボクシングトレーナー椎野大輝です。
ラファエル・エスピノサ選手が、井上尚弥選手との対戦を実現するために、フェザー級の王座統一へ意欲を示しています。複数のベルトを持つことで、井上選手にとって対戦する価値のある相手になろうという考えです。
そこで注目したいのが、ブルース・キャリントン選手との統一戦です。僕は、この2人の対戦をフェザー級の「ラスボス対決」だと考えています。
その勝者は、井上選手にとってどれほど難しい相手になるのか。
今回は両者の相性と、井上選手に期待するフェザー級での挑戦について書いていきます。
エスピノサがベルトを集めれば、井上尚弥にとって得るものも大きくなる
エスピノサ選手が複数のベルトを獲得すれば、井上選手がフェザー級で王座統一を目指すうえで、対戦する必要性は高まります。
仮に4団体を統一した場合、井上選手が世界王座を獲得するには、エスピノサ選手へ挑むことになります。井上戦を引き寄せるという意味では、分かりやすい方法かもしれません。
もちろん、ベルトが簡単に集まるわけではありません。他団体の王者と戦うのはハイリスクです。それでも挑もうとしているのは、それだけ自信があるということでしょう。
井上選手にとっても、一度の対戦で複数の王座を獲得できるなら、得るものは大きくなります。対戦を待つだけでなく、自分からその価値を高めようとするのは、いい考えだと思います。
井上尚弥に勝つタイミングによって、評価は変わる
エスピノサ選手は、井上戦をPFPで評価されるための機会とも考えているようです。
ただ、井上選手に勝てば、そのままPFP1位になるかというと、僕はそう単純ではないと考えています。そこには階級の違いがあります。
例えば、井上選手がフェザー級へ上げた初戦でエスピノサ選手に敗れた場合、「やはり階級差があった」と受け止める人もいるでしょう。
一方で、井上選手がフェザー級でも圧倒的な強さを見せ、その最後の難関として立ちはだかったエスピノサ選手が勝つのであれば、評価は違ってきます。PFPでも上位に評価されるようになると思います。
いずれにしても、井上選手との対戦は世界から注目されます。戦うだけでも知名度は上がりますし、勝てばさらに大きな注目を集めることは間違いないでしょう。
エスピノサ対キャリントンは、ほぼ五分の「ラスボス対決」
エスピノサ選手とキャリントン選手が戦うなら、単純に面白い試合になると思います。
キャリントン選手には技術とスピードがあり、井上選手よりも身長があります。エスピノサ選手との体格差も、井上選手ほど大きくはありません。そのため、技術とスピードを生かしてエスピノサ選手に勝つ展開は十分に想像できます。
判定で攻略する可能性はありますし、倒す可能性もないとは言えません。
ただ、僕の予想としては、ほぼ五分です。あえて数字にするなら、エスピノサ選手が51、キャリントン選手が49くらいでしょうか。どちらが勝っても驚かない組み合わせです。
この対戦では、派手なKO勝ちをしなければ評価できないとは思っていません。接戦の末に2対1の判定で勝つ形でも、十分に価値があります。
僕にとってはフェザー級の頂上対決であり、勝った選手が井上選手の「ラスボス」として、最終関門に立ちはだかるという見方です。
キャリントンが統一しても、井上尚弥の優位は残る
キャリントン選手がエスピノサ選手を破った場合、井上選手にとっての危険度は上がると思います。
前回、井上選手とキャリントン選手の勝敗予想を「6.5対3.5で井上選手が有利」と話しました。キャリントン選手がエスピノサ選手に勝てば、その割合は6対4くらいになるかもしれません。
それでも、対戦相性は別に考える必要があります。
僕は、一瞬のスピードや一撃の破壊力では、井上選手の方が上ではないかと見ています。もちろん、キャリントン選手のパンチが弱いという意味ではありません。井上選手がバンタム級やスーパーバンタム級で見せてきた破壊力を踏まえた評価です。
さらに、井上選手にはダウンを喫したあとに立て直してきた経験があります。
苦しい場面を乗り越えてきたキャリアや、ダウン後のリカバリー能力も武器です。相手の能力だけでなく、そうした経験も含めて、井上選手の優位は残ると考えています。
エスピノサが技術とスピードを圧力で潰したら、井上尚弥には厄介になる
反対に、エスピノサ選手がキャリントン選手に勝つとしたら、体格を生かした圧力と攻撃で押し込む展開を想像しています。
技術では、キャリントン選手の方が上だと思います。エスピノサ選手にとってはパンチを当てにくく、苦戦する相手でしょう。
それでも前進を続け、手数を出し、キャリントン選手が徐々に圧力に負けていく。エスピノサ選手が勝つなら、そのような展開が浮かびます。
キャリントン選手ほどの技術とスピードを、体格と圧力で潰せるのであれば、さらに体の小さい井上選手にとっては、めちゃくちゃ厄介です。
ただし、井上選手には一発があります。エスピノサ選手が井上選手のパンチを避けきれず、倒される展開も十分に考えられます。
井上選手のスピードやパンチ力があっても、あの体格差の中でどう当てるのか。それでも井上選手なら当ててしまいそうだと感じる部分もありますが、エスピノサ選手の大きさが脅威であることは変わりません。
キャリントンの攻略法を、そのまま井上尚弥に当てはめることはできない
両者の統一戦が実現すれば、井上選手にとって参考になる場面は出てくるでしょう。ただし、キャリントン選手と井上選手では、身長やリーチが違います。
例えば、エスピノサ選手が前に出てきたとき、キャリントン選手ならその場から打ち返して届くパンチでも、井上選手はもう一歩踏み込まなければ届かないかもしれません。
キャリントン選手にもスピードがあります。その選手がどの距離から打ち返せるのかを見ることで、井上選手ならどれだけ距離を詰める必要があるのか、見えてくる部分はあると思います。
相手の隙が分かることと、そこへ自分のパンチが届くことは別です。統一戦を見る際には、そのサイズの違いも考える必要があります。
フェザー級初戦から、統一王者へ挑んでほしい
僕は前回、井上選手にはテストマッチを挟まず、フェザー級初戦からキャリントン選手と戦ってほしいと話しました。
キャリントン選手がエスピノサ選手を破り、統一王者になったとしても、その気持ちは変わりません。
井上選手には、いきなりその壁を飛び越えてほしいです。まずは無難な相手と戦うというより、突き抜けた挑戦で夢を見せてほしいと思っています。
反対に、エスピノサ選手がキャリントン選手を破った場合も、その統一王者へ初戦から挑む姿を見たいです。
例えば、井上選手とバム・ロドリゲス選手の試合が実現し、同じ興行でエスピノサ選手とキャリントン選手が戦う。その後、夏に勝者同士が対戦するという流れがあれば、面白いのではないでしょうか。
これは決まった話ではなく、僕が見てみたい組み合わせです。僕自身はバム戦について、井上選手が勝つ可能性を8割程度と見ています。その先にフェザー級の統一王者との対戦が続くなら、非常に楽しみです。
統一戦を待てない場合は、別の王座から進めばいい
一方で、井上選手がフェザー級へ上げる時点で、エスピノサ選手とキャリントン選手の統一戦がまだ実現していない場合も考えられます。
すでに両者の交渉が進んでいるのであれば、井上選手がそこへ割って入る必要はないと思います。
その場合は、別の団体の王者に勝ってから、統一戦の勝者と戦えばいいでしょう。
最初から統一王者へ挑む形でも、自分で王者を一人ずつ倒していく形でも構いません。僕が見たいのは、井上選手がフェザー級でも4団体統一へ挑戦する姿です。
難敵を突破すれば、3階級4団体統一が大きく近づく
エスピノサ選手やキャリントン選手のような難しい相手に最初から勝てれば、その後の4団体統一にも大きな期待が持てます。
もちろん、ほかの王者が弱いという意味ではありません。階級を上げて戦う以上、誰にでも一発があり、油断できる相手はいません。
それでも僕は、新たに王者になったばかりの選手と戦うより、まずはエスピノサ選手やキャリントン選手との対戦を見たいです。その難関を突破できれば、「4団体統一もかなり近い」と感じられるのではないでしょうか。
フェザー級でも統一できれば、3階級での4団体統一になります。とんでもない挑戦ですが、井上選手にはそこを目指してほしいと思います。
フェザー級も、井上尚弥を中心に動く
井上選手がフェザー級へ参入すれば、世界中が注目するはずです。
マッチメイクも「誰が井上選手と戦うのか」「誰が井上選手を倒すのか」という形で、井上選手を中心に動くようになると思います。
その中でも、僕がフェザー級の両翼だと考えているのが、エスピノサ選手とキャリントン選手です。この2人と井上選手がどう絡んでいくのかが、特に楽しみです。
日本人選手も含めて、フェザー級はこれからさらに面白くなるのではないでしょうか。
井上選手には、これまで以上に大きく、強い相手へ挑み、その階級でも圧倒する姿を見せてほしい。まずはバム選手との対戦がどうなるのかを含め、その先の挑戦を楽しみにしています。
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【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導
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