
井上拓真選手とクリスチャン・メディナ選手による、世界バンタム級王座統一戦の可能性が報じられました。
メディナ陣営は、ジェシー“バム”ロドリゲス選手との試合が実現しない場合、拓真選手との統一戦を目指す意向を示しています。
想定されている時期は2027年2月か3月。
井上尚弥選手vsバム選手と同じ大会になる可能性にも触れられていますが、正式決定ではありません。
この統一戦が実現した場合、両者の技術や相性は試合にどう影響するのでしょうか。
今回は、拓真選手とメディナ選手の勝敗予想に加え、バム選手との対戦についても、僕なりの見解をお伝えします。
- 1. 拓真vsメディナは、ぜひ実現してほしい組み合わせ
- 2. 警戒したいのは、パワーと相打ち気味のフック
- 3. 下がるだけではなく、前でも対処する
- 4. 拓真のスピードとディフェンスが有利に働く
- 5. 相打ちを避け、打ち終わりを狙う
- 6. がむしゃらな殴り合いには付き合わない
- 7. 明確なポイント勝ちを予想する理由
- 8. メディナ戦は7対3、バム戦は5.5対4.5で拓真有利
- 9. バムの左の打ち分けとフェイントには注意が必要
- 10. メディナよりも、バムの方が対応の難しい相手
- 11. 兄弟同日決戦で注目したい、日本のボクシングの基礎
- 12. 一番大変なのは、井上真吾トレーナーかもしれない
- 13. メディナを完封する姿を見たい
拓真vsメディナは、ぜひ実現してほしい組み合わせ
拓真選手とメディナ選手の統一戦について、僕は「望むところだ」と感じました。もちろん、僕自身が戦うわけではありませんが、それほど楽しみな組み合わせです。
尚弥選手がバム陣営に対して、対戦するなら直接戦うべきだという趣旨の発言をしていました。僕も、その通りだと思っています。なぜバム陣営が主導権を握っているのだろう、という思いがあったからです。
バム陣営が3月ごろの尚弥選手との対戦に向けて動き、その結果としてメディナ戦が実現しなくなるのであれば、メディナ選手の対戦相手が空くことになります。
そこで拓真選手との統一戦が組まれれば、一番面白いのではないでしょうか。盛り上がると思いますし、ぜひ実現してほしいです。
現時点での予想は、拓真選手のポイント勝ちです。
メディナ選手には、確かにかなりのパワーがあると思います。ただ、拓真選手にとっては、パンチの軌道やリズムを読みやすい相手なのではないかと見ています。
実際にどれほどのパワーがあるのかという点は気になりますが、メディナ選手を空回りさせながら、拓真選手がポイントを重ねて勝つ展開が、僕には最もイメージできます。
警戒したいのは、パワーと相打ち気味のフック
メディナ選手の強みは、パワーと乱戦への強さです。殴り合いになったときに強さを発揮する選手だと感じます。
前進する力もありますし、相打ち気味に振ってくるフックにも注意が必要です。
それでも、拓真選手がポイントを取って勝つことに徹すれば、対応できるのではないかと思っています。
そのために大切なのは、メディナ選手が打ちやすい距離で止まらないことです。
ブロッキングでその場にとどまると、メディナ選手は続けてパンチを打てます。フットワークで外して空振りさせるなど、相手を空回りさせる対応が必要になります。
また、詰めてきたところで肩を入れて距離を潰し、パンチを打てなくする方法もあります。メディナ選手のフックが当たる距離に、居続けないことが重要です。
下がるだけではなく、前でも対処する
距離を取るだけでなく、近い距離でも対応できることが大切です。
メディナ選手のようなタイプは、相手を追うことに慣れていると思います。中途半端に下がる相手は、むしろ戦いやすいのではないでしょうか。
遠い距離を保とうとしても、後退ばかりでは追い込まれてしまいます。リングにはロープやコーナーがあるため、そこまで詰められれば、連打を受ける展開になりかねません。
そこで必要になるのが、自分から前に入って距離を潰したり、押し返したりする対応です。
これができれば、メディナ選手が一方的に前進する展開にはなりません。相手にとっても、やりにくさが生まれると思います。
拓真選手は、前で対処する技術にも優れています。距離を潰して相手に打たせない技術もすごく上手いので、そうした対応も駆使するのではないでしょうか。
拓真のスピードとディフェンスが有利に働く
メディナ選手が特に苦戦しそうなのは、拓真選手のスピードとディフェンス力です。
拓真選手はガードがしっかりしているうえに、フットワークもボディワークも使えます。
一方で、メディナ選手のパンチは、比較的分かりやすいように僕には見えます。そのため、拓真選手にとっては防御しやすいのではないかと思います。
メディナ選手が拓真選手からクリーンヒットを奪うのは、かなり大変なのではないでしょうか。
拓真選手にポイントを取られ、自分の攻撃は空回りする。メディナ選手にとって、そうした展開になることが想像できます。
拓真選手が自分から攻めるか、迎え撃つかという点では、待ちすぎるのもよくありません。ただ、自分から攻め込めば、メディナ選手がそこに合わせてくる可能性があります。
僕は、拓真選手がやや待つ形を選ぶのではないかと見ています。
もちろん、何もせずに待つわけではありません。ジャブでポイントを取りながら牽制し、相手に打たせて外す。そのうえで、さらにポイントを重ねていく戦い方です。
相打ちを避け、打ち終わりを狙う
拓真選手がポイントを取っていても、メディナ選手が構わず前に出てくることは考えられます。その場合は、相打ちと、自分の打ち終わりに注意したいところです。
僕は、ある程度は攻撃と防御を分けて戦ってもよいと思っています。
まず相手の攻撃を防ぎ、その打ち終わりに返して、再び動く。その方がリスクを抑えられるのではないでしょうか。
メディナ選手に前進をためらわせるためにも、打ち終わりを取りたいです。「打てば打ち返される」と感じさせたいですね。
逆に、メディナ選手の立場なら、拓真選手が入ってくるところを狙うと思います。
武居由樹選手との試合でも、メディナ選手は飛び込み際を狙っていました。武居選手にとって、あれはかなり厄介だったのではないでしょうか。「入れば合わせてくる」という意識が強くあったと思います。
拓真選手は武居選手とはスタイルが異なるため、同じ展開にはならないと見ています。それでも、打とうとしたところでメディナ選手が振ってくれば、攻撃しにくくなる可能性はあります。
メディナ選手としては、相打ちを覚悟するくらいでなければ、拓真選手にパンチを当てられないのではないかと思います。
そうした強気な、ギャンブル的な戦いができることもメディナ選手の強みです。だからこそ、拓真選手には、攻撃と防御を分ける戦い方が有効だと考えています。
がむしゃらな殴り合いには付き合わない
拓真選手が避けたいのは、がむしゃらな殴り合いです。
その展開になると、メディナ選手のパワーや、相打ちをいとわず振ってくるスタイルが生きてしまいます。
殴り合いに付き合わず、ボクシングでポイントを取ることに徹すれば、問題なく対応できるのではないかと個人的には感じています。
序盤の3ラウンドで注目したいのは、メディナ選手のプレッシャーにのまれていないかどうかです。
精神的な余裕を持って対処できていれば、試合が長くなるほど拓真選手のペースになると思います。
後半には、メディナ選手のリズムやタイミングも読めてくるはずです。そうなると、メディナ選手のパンチは、本当に当たらなくなるのではないでしょうか。
メディナ選手の攻撃は当たらず、拓真選手だけがポイントを重ねる。そうした一方的な展開も考えられます。
明確なポイント勝ちを予想する理由
序盤は、お互いにタイミングをつかめず、少し怖い場面があるかもしれません。
ただ、そこで拓真選手が対応し、自信をつけていく。ずるずると下がらず、前でも対処できるようになれば、拓真選手が明確にポイントを取る展開になると思います。
僕が予想しているのは、そうした形での拓真選手のポイント勝ちです。
一方で、可能性は低いと思いますが、メディナ選手のパンチやパワーにひるんでしまうことも、全くないとは言い切れません。
相手をさばくことに偏りすぎて、自分のポイントを取りきれなくなる展開です。
そうなると、どちらが取ったのか判断しにくいラウンドや、メディナ選手の攻勢が評価されるラウンドが出てくるかもしれません。
ただ、僕は公開採点になるのではないかと考えています。その場合も、拓真選手なら採点を踏まえて修正できると思います。
拓真選手はボクシングの幅が広く、12ラウンドの中で戦い方を変えられます。それが強みです。
基本的には、無理に倒しにいくのではなく、しっかりポイントを取って勝つボクシングを選ぶのではないでしょうか。
メディナ戦は7対3、バム戦は5.5対4.5で拓真有利
拓真選手の相手として、もう一人気になるのがバム選手です。個人的には、この対戦も見たいと思っています。
僕の予想では、メディナ選手との対戦は7対3で拓真選手有利。バム選手との対戦なら、5.5対4.5で拓真選手がやや有利です。
バム選手の攻撃に対しても、拓真選手の守りは十分に通用すると思います。
大きくスピード負けするとは思いませんし、防御の幅も広い。ブロッキングとボディワークの両方を使えます。
課題になるのは、バム選手のようなスタイルのサウスポーに、どこまで対応できるかです。
バム選手はサイドを使う技術に優れています。その動きへの対応は必要ですが、僕は拓真選手なら対応できると思っています。
スピードだけでなく、体のパワーでも負けていないと見ています。集中を保つことができれば、十分に戦えるのではないでしょうか。
バムの左の打ち分けとフェイントには注意が必要
バム選手の攻撃で、拓真選手も対応に苦労しそうなのは、左の打ち分けです。
ストレート、アッパー、ボディー、カウンターと、バム選手は左でさまざまな攻撃ができます。その打ち分けは、すごく上手いと思います。
右サイドへ回って打つ右フックにも怖さはあります。ただ、拓真選手を相手に、そこまで得意な展開をつくれるかという点は気になります。
僕が特に警戒したいのは、フェイントからの左です。
拓真選手がブロッキングに頼ったり、フェイントに反応して動きを止めたりすると、その瞬間を狙われる可能性があります。
フェイントで一瞬止まったところに左をもらう。そうした場面は想像できます。
それでも、集中して対応できていれば、大丈夫ではないかと見ています。
メディナよりも、バムの方が対応の難しい相手
拓真選手にとっては、メディナ選手よりもバム選手の方が戦いにくいと思います。バム選手との対戦の方が、五分に近い試合になるという見方です。
仮にバム選手とメディナ選手が戦ったとしても、僕はバム選手がやや有利だと考えています。
理由は、スピードと戦える範囲の広さです。ボクシングの幅では、バム選手が少し上ではないでしょうか。
拓真選手とメディナ選手の比較では、特にスピードの差が大きいと思います。
メディナ選手は、比較的正面から突破しようとする戦い方です。そのため、拓真選手には攻撃を読まれやすく、ディフェンスを突破できないのではないかと見ています。
一方、バム選手はサウスポーで、横の動きやフットワークも多彩です。あまり多くないタイプであり、拓真選手には、その動きへの対応力が求められます。
メディナ選手に対しては十分に対応できると考えていますが、バム選手には、また違った難しさがあると思います。
兄弟同日決戦で注目したい、日本のボクシングの基礎
尚弥選手vsバム選手と、拓真選手vsメディナ選手が同じ日に組まれたら、チケットの価格はめちゃくちゃ高くなるのではないでしょうか。
それは冗談として、二試合とも絶対に面白くなり、世界的にも注目されると思います。
僕は、尚弥選手と拓真選手を、日本で教えられるボクシングの基礎を極めた選手だと考えています。
その二人が、メキシコのメディナ選手、アメリカのバム選手と戦う。日本のボクシングの教科書のような選手たちが、世界の強豪と向き合うことになります。
僕ら日本のトレーナーは、日頃から基礎の大切さを伝えています。
ステップ、ガード、ワンツー。そうした基本を徹底的に身につけ、それを土台として戦っているのが、尚弥選手と拓真選手だと思います。
その意味で、この二試合は「日本のボクシング対世界」とも捉えられます。
二人がそろって圧倒する姿を見せてくれれば、僕らが伝えている「基礎を大事にしよう」という言葉にも、説得力が増すのではないでしょうか。
一番大変なのは、井上真吾トレーナーかもしれない
兄弟で同じ大会に出場すれば、二人は切磋琢磨すると思います。
ただ、この興行で一番大変なのは、井上真吾トレーナーかもしれません。精神的な負担は、誰よりも大きいのではないでしょうか。
自分の息子が試合をするだけでも、緊張すると思います。それが同じ日に、それぞれ強敵と戦うとなれば、とんでもないことです。
二人の調整はもちろんですが、父親でありトレーナーでもある真吾さんのメンタルや体調も、僕は気になります。
選手二人については、やってくれると思っています。
メディナを完封する姿を見たい
武居選手との試合を通じて、メディナ選手の強さや攻撃力は、日本のボクシングファンにも伝わっていると思います。
そのメディナ選手を、拓真選手が完封する姿を見たいです。「やっぱり井上拓真選手はすごい」と感じられる試合を見せてほしいと思っています。
僕自身は、完封するのではないかと予想しています。
今回は、拓真選手とメディナ選手の統一戦が浮上したことを受けて、僕なりの見解をお伝えしました。
まだ正式決定ではありませんが、決まれば、さらに気持ちが高ぶると思います。尚弥選手vsバム選手も含め、二試合が同じ日に実現するのであれば、なおさらです。
僕はトレーナーであると同時に、井上兄弟のファンでもあります。正式に決まったときには、もっと興奮しながら予想をお話しするかもしれません。
ぜひ実現してほしいカードです。その際は、またお付き合いください。
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【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導
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