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2026年9月27日、井上拓真選手と那須川天心選手の再戦が行われました。天心選手が7ラウンドにダウンを奪いましたが、結果は拓真選手の判定勝ちでした。

試合直後にもライブで話しましたが、改めて試合を振り返ります。

一番印象に残ったのは、ダウン後の拓真選手の守り

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一番印象に残ったのは、やっぱり7ラウンドです。天心選手の左ストレートで拓真選手がダウンしたあと、拓真選手が見せたディフェンス力はすごかったですね。

あの時点では天心選手が有利で、ラウンドもまだ2分以上残っていたと思います。拓真選手にもダメージがまったくなかったわけではないと思うんです。

それでも、そこから天心選手はほとんどパンチを当てられませんでした。拓真選手はすごいなと思いました。

初戦から変わった天心選手と、意外だった拓真選手の戦い方

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天心選手は、初戦と比べて下がらずに対応できていました。確実にレベルアップしていたと思います。特に、拓真選手を相手に前回と同じ戦い方にはしないということを、徹底していたように見えました。

一方で、拓真選手の戦い方は僕には意外でした。もっとプレッシャーを強めて、天心選手を下がらせる展開に持っていくかと思っていたんです。

実際には、天心選手が得意な左ストレートを打ち出せそうな中間距離で、どっしり構えて待っていました。そこで戦うのか、と。強気だなと思いました。

1ラウンドも、拓真選手は相手がどう出てくるかを見ているようでした。もっと前に出ると思っていたので、その待ちの姿勢が意外だったんです。お互いにクリーンヒットが多い展開ではなく、天心選手も簡単には打たせていませんでした。

2ラウンドには天心選手の攻撃で拓真選手が倒れましたが、判定はスリップ。僕も、その後の試合への影響はあまりなかったと思います。拓真選手は反応していましたし、パンチもガードの上で、押し倒すような形に見えました。レフェリーによってはダウンと判断する可能性もなくはないですが、スリップ判定は妥当だったと思います。

序盤の公開採点は、天心選手に厳しく感じた

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4ラウンド終了時の公開採点では、2人のジャッジが拓真選手を支持し、1人は同点でした。

拓真選手が試合を作っているようには見えました。ただ、4ラウンドすべてを拓真選手につけたジャッジには少し驚きました。

僕は38対38でもおかしくないと思っていましたし、39対37で拓真選手という見方もできるかな、というくらいでした。天心選手には厳しい採点だと感じました。

公開採点を聞いて、拓真選手は「今回はこの戦い方でポイントが取れる」と、自信を深めたんじゃないかと思います。

天心選手が前に出てきた方が、拓真選手としてはやりやすかったのかもしれません。何よりディフェンス力が高かったですね。

7ラウンドのダウンはなぜ生まれたのか

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天心選手はポイントを取り返し、流れを変えなければいけない状況でした。そこで拓真選手が打ち合いに応じたんですが、少し雑になったように見えました。

あの場面は、拓真選手に油断があったと思います。もう少し攻防を分けてもよかったところで打ち合い、天心選手の一発をもらった、という印象です。

ただ、その後の拓真選手が本当に強かった。

天心選手がダウン後に倒し切るには、攻撃の引き出しがもう少し必要だったかもしれません。コンビネーションの組み合わせを変えたり、左だけでなく右を狙ったり。何か変化がないと、ディフェンスに集中した拓真選手には当たらないように見えました。変化をつけても当たらなかったかもしれませんが、そこは拓真選手が見事でした。

拓真選手はロープを背負いながら、「打ってこい」というように相手を見て、打たせて外していました。あれだけ集中した拓真選手に当てるのは難しいですね。

天心選手も、初戦ではできなかったことを見せていました。

下がるだけでなく、足を止めて迎撃し、前に出ようとしていた。がむしゃらではなく、練習で身につけてきたことを出していたように見えました。

ダウン後、拓真選手はさらに強く見えた

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ダウンの次のラウンドから、拓真選手は覚醒したように見えました。より集中力を高め、気を引き締めて戦っていたんじゃないかと思います。そこからの拓真選手は、僕にはものすごく強く見えました。

天心選手の戦い方が悪かったとは思いません。ただ、拓真選手がその上をいったという感じです。

8ラウンド終了時の公開採点では、2人のジャッジが77対74で拓真選手、1人が76対75で天心選手でした。拓真選手を支持する2人の採点では3ポイント差です。

天心選手は残りのラウンドを取っていかなければならず、拓真選手には精神的な余裕ができたんじゃないかと思います。

この公開採点が、両選手や陣営に与えた影響は大きかったと思います。天心選手は倒しにいく必要も出てくる。一方の拓真選手は、集中して倒されなければ勝てるという感覚を持てたのかもしれません。

クリーンヒットが少ない中で、拓真選手がラウンドを取った

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終盤、拓真選手の方がダメージを与えていたという話だけではありません。クリーンヒットが少ない展開の中でも、拓真選手は「自分が試合のペースを握っている」と見せていたように思います。

天心選手のクリーンヒットを許さず、拓真選手自身も手を出す。リングサイドで見るのと画面で見るのとでは違うと思いますが、画面で見ていても、拓真選手の方が試合を支配し、ポイントを取っているように映りました。

最終判定は3対0で、2人のジャッジが116対111、1人が114対113でした。僕がポイントをつけるなら、1ポイント差よりは差があった印象です。後半はほとんど拓真選手につけるので、116対111をつけたジャッジに近いですね。

お互いに目がよく、クリーンヒットがたくさん生まれる試合ではありませんでした。

そういうラウンドでも、3分間を通して「どちらにつけるか」と考えると、拓真選手だと思わせる。1発のクリーンヒットだけに頼らずにラウンドを取るところは、拓真選手の方がうまかったと思います。

天心選手の一つひとつの動きや反応は、決して悪くありませんでした。それでも3分間を通して見ると、「このラウンドは拓真選手かな」と感じる。その積み重ねが大きかったですね。

天心選手が判定で勝つために必要だったこと

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天心選手が判定で勝つには、試合を自分から作るか、攻勢をもっと強めるか。どちらかが欲しかったと思います。

拓真選手が試合を支配しているように見せてポイントを取っていたので、それを積極的な攻撃で上回るのか、駆け引きで上回るのか。ただ、お互いにディフェンスと反応がいいので、クリーンヒットを増やすのは簡単ではありません。相手の狙いが見えるからこそ、手数も増やしにくいんです。

そうなると、パンチを打っていない時間をどう使うか、3分間をどう使うかが大切になります。そこは天心選手にとって、まだ伸ばせるところなのかなと思いました。

拓真選手にも修正できるところはある

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拓真選手については、やっぱり7ラウンドのダウンがもったいなかったですね。あそこで打ち合う必要はなかったと思います。

気の強さはいいところだと思います。ただ、あの場面にはリスクがありました。勝ちに徹した拓真選手は強いと思っているので、必要のないリスクをどう避けるかは大事になると思います。

もう一つは決定力です。拓真選手にパンチがないとは思いませんが、相手にもっとダメージを与えられれば、試合の展開も変わるはずです。今回は天心選手も目がよかったので、的中させるのは難しかったと思います。

また、今回は序盤からポイントで先行できました。もし逆に4ラウンド終了時点で大きくリードされていたら、強引にでもポイントを取り返さなければいけません。そういう展開でどう戦うかも、今後の相手によっては必要になると思います。

天心選手は、まだ強くなれる

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天心選手はすごいと思いました。前回から約10カ月で、これだけ戦い方を変えてきた。変えられる選手ですし、進化できる選手なんですよね。

ボクシングに転向してからのキャリアを考えても、まだまだ強くなるんじゃないでしょうか。今回の試合を糧にして、さらに伸びていく可能性があると思います。

仮に3年後、もう一度拓真選手と戦うとしたら、その時はどうなるか分からないと思います。もちろん拓真選手もさらに円熟味を増すでしょうし、再戦が実現するかは別の話です。それでも、両選手がトップクラスにいるなら、個人的には見てみたいですね。

天心選手は、拓真選手を相手にしたからこそ今回負けたという面もあると思います。ほかのチャンピオンと今戦ったらどうなるかは分かりません。

世界王座をより明確に取るためには、僅差のラウンドを自分につけていくことが必要だと思います。

1発で試合を終わらせるタイプというよりは、試合をコントロールして、どちらにも見えるラウンドを取っていく。

今回、クリーンヒットが少ない中で拓真選手が取っていたポイントを、天心選手が取れるようになったら、かなり強いと思います。

拓真選手の武器と、選手に見てほしいところ

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拓真選手が今後、王座統一を目指すなら、武器になるのはディフェンス力と試合を作る力だと思います。

あれだけ集中していれば、本当にもらわない。自分から試合を作り、コントロールするところもすごかったですね。

個人的には、バム・ロドリゲスとの試合も見てみたいと思っています。

今回の試合は、現役の選手にとっても勉強になるはずです。強いパンチがあっても、当たらなければ意味がありません。パンチを当てるまでの過程や、打っていない時間の使い方が大切です。

一つのいいパンチだけを見るのではなく、3分間を通してそのラウンドを取れているか。そして試合全体のポイントと流れをどう見るか。拓真選手のラウンドの取り方は、そこを考えるきっかけになると思います。

拓真選手は強かったですし、天心選手の変化や進化も見られました。

天心選手がダウンを奪い、拓真選手がそこから立て直した。とても面白い試合でした。

天心選手にはまだ世界チャンピオンになる実力があると思いますし、拓真選手が今後どんな大きな試合に進むのかも楽しみです。

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しいの

【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導

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