ボクシング界では「左を制するものは世界を制す」という言葉がありますが、ここでいう「左」はジャブのことです。
ジャブをうまく打てる人がボクシングでは上に行くと言われています。
井上尚弥選手や東洋大の1つ上の先輩だった村田諒太選手もジャブがとても強いです。村田諒太選手は、マスボクシングをやらせて頂いたこともありますが、見えないジャブを打ってくるので、ジャブで崩されて次のパンチを打たれて、本当にジャブの使い手でした。
ジャブは、種類が多く、強いパンチを当てるための伏線として使ったり、距離とタイミングを作って相手のパンチをもらわずに決めパンチを狙うなど様々な使い方ができます。本記事では、ジャブの基本的な打ち方を解説するとともにトレーニング法やジャブを打つ時に意識すべきことをジャブの目的別にお話ししていきたいと思います。
ジャブの引き出しを増やしてボクシングの幅を広げていきましょう!
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- この記事を書いた人
- 元プロボクサー
- 世界ランキング最高7位
- 東洋太平洋タイトル獲得
20年以上のボクシングキャリアを活かし
- ボクシング特化型パーソナルトレーナー
- トレーナー育成コーチ
- プロ専門ボクシングトレーナー
として活動しています。
担当した選手がチャンピオンベルトを獲得した数は10本以上。勝率はプロボクシング界の中でもトップクラス。
ボクシング好きなあなたに役立つボクシング情報を発信していきます。
本記事の内容
ジャブの基本的な打ち方解説
ジャブの基本的な打ち方を話していきます。
まず、ジャブというのは、構えた時に前にある手をまっすぐ打つストレートのパンチです。
基本的に、構えた状態からモーションをつけずに伸ばすこと、当たる瞬間にしっかり握ること意識して打ちましょう。
まっすぐ打つために意識してほしいポイントは
- 脇を開かない
- 肘からナックルまでを棒にして、その棒をまっすぐ前に突く
また、ジャブを強く打ちたい時は「脚の力(踏み込みの力)を使って」前に出るように打ちます。
強く打ちたいからといって、上半身が突っ込んでしまうと、かえって強く打てなくなるので注意です。
上半身が突っ込むのではなく、体を回すというイメージで打ってください。
強いパンチを打つためには条件があります。一つでも欠けているとパワーが逃げてしまうので、以下のことを意識して打ちましょう。
- 体を回す
- 手を伸ばす
- 脚で踏み込む
棒で突くイメージで打つと強く打てるのでやってみてください。
ジャブをうまく打つためのトレーニング法3選
ジャブがうまく打てるようになるために推奨するトレーニング法を解説していきます。
- シャドーボクシング
- ミット打ち
- マスボクシング
シャドーボクシング
ジャブをうまく打つためのトレーニングとしては、まずは鏡に向かってシャドーボクシングを行います。正面に映る自分の顔に向けてジャブを打ちます。ゆっくり打ってパンチの軌道を確認しましょう。脇が開いていないかなど、正確な打ち方を意識して打ちます。
次に鏡に向かって横向きに打つ。まっすぐパンチが打てているかを確認できます。まっすぐ打つことができたら徐々にスピードアップして、スピードをつけてもパンチがずれないかどうか確認しましょう。
次に、ジャブの種類によって打ち方が違うので何のためのジャブなのか意識して打っていきます。
牽制なのかフェイントなのか、顔に打つのかボディに打つのか。顔でもおでこに当てるのか顎に当てるのか。効かすパンチなのか目くらましなのか。パンチの使い方によって打ち方が変わってくるので、いろんな状況を想定しながら打ち方を変えてやってみましょう。
ミット打ち
ミット打ちはトレーナーが持っているミットに向けて正確にパンチが打てるようにしていきましょう。
しっかり打つ場合は拳のナックルパートが当たっているかを意識してください。
トレーナーの方で、何のためのジャブかを意識してもらえると持ち方を考えてくれます。目的別に打ち方も変わってくると思うので、ミットの目的は是非共有してください。
また、実戦を想定して、パンチの意味を考えて打つようにしてください。シャドーボクシングでしっかり打ったジャブが、ミットに正確に当たるかどうかを意識してやってみてください。
マスボクシング
人と対面して実戦練習をします。動いている人に向けて正確にしっかりしたフォームでジャブが打てるかどうかを意識して練習してください。マスボクシングは実戦練習です。何のためのジャブかを意識して行ってください。
ジャブを打つ時に意識すべきこと
ジャブを打つ時に意識すべきことは「何のためのジャブなのかを理解すること」と「どこに当てるのか」を意識することです。
例えば
- 威嚇に使う時
- ダメージを与える時
- 相手を止める時
- 相手を起こす時
- 相手を下げる時
目的によってジャブの打ち方が変わってくるので、ぜひ理解しておきましょう。
1.ジャブを威嚇に使う時
威嚇に使うパンチは、どうしたら相手を怖がらせることができるかを意識してください。
例
- 速いスピードで打つ
- 目の方向に向けて打つ
- ガードの上を叩く
人は、素早いスピードでパッと目の間に来られた時にびっくりします。
ゆっくり来られても、なんだこいつとはなるけど、反射的にビクッとはなりません。
そういうことを意識してジャブを打ってみると威嚇になります。
2.ジャブでダメージを与える時
ダメージを与えるには「ダメージを与えられる場所」に「ダメージを与えるパンチを打つこと」です。
ダメージを与えられる場所
- 顎
- みぞおち
- テンプル
ダメージを与えるパンチ
- 固い
- 見えない
- 速い
- 重い
人間の急所に向けて強く打つのがポイントです。
ジャブだけど、ストレートを打つ意識で突き刺すように打ちましょう。
当たる瞬間に拳をしっかり握ることで、打つまでのスピードは速くなり、固く重いパンチが作れます。
3.ジャブで相手を止める時
どうしたら止まるかは相手によって違います。
ガードの上を叩かれて止まるなら、ガードを叩けばいいし、叩くだけで止まらないなら、つっかえ棒のような感じで一瞬抑えるイメージのジャブを打ちましょう。長くやると反則取られるので注意してください。
相手がいない場合は、自分が前に出たい時、何をされたら止まるかを考えてジャブを打ちましょう。
4.ジャブで相手を起こす時
やり方はいろいろあるので一つ例にあげます。
僕がよくやっていたのは、おでこを押す感じでジャブを打つやり方です。
この時拳の向きは縦。
起こすだけなので固く打つ必要もないし、強く打つ必要もないです。
相手を押す感じで打ちます。
5.ジャブで相手を下げる時
大抵はパンチが強かったり怖かったりすると下がります。
威嚇に使うパンチやダメージを与えるパンチを打ってそれをフェイントに使っても良いです。
どうやったら相手が下がるかは相手によって違うので相手が下がるポイントを観察してください。
押さないと下がらない選手もいますし、威嚇したら下がる選手もいます。
ジャブをつっかえ棒にして押し返さないと下がらない相手もいるので反応を見て使い分けてください。
まとめ
以上のポイントを押さえた上で、ジャブの練習を積み重ねることで、実戦で効果的に使えるようになります。基本をしっかりと身につけた上で、状況に応じた使い分け(顔に当てるのか、体に当てるのか、拳の向きなど)を意識することで、より強力な武器としてのジャブを手に入れましょう。
いろいろな打ち方をイメージして練習することが大切です。
といわけで今回は以上です。