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こんにちは、椎野です。

ボクシングは肉体だけでなく、精神の戦いでもあります。試合に勝つためには技術や戦略が必要ですが、試合の終盤など、きつくなってきた時の勝敗を決めるのは、メンタルが8割を占めていると思っています。なぜなら、どんなに高い技術を持っていても、メンタルが崩れた瞬間にそれは使えなくなるからです。

そこで今回は「試合に勝つためのメンタル戦略:精神力を鍛える3つのステップ」というテーマで、ボクサーが試合に臨む前に準備しておいてほしいメンタル作りの方法をお話しします。

メンタルを鍛え、高いモチベーションを維持することがリングでの勝利につながります。

それでは試合に勝つために必要なメンタル戦略を見ていきましょう。

  • この記事を書いた人
しいの
  • 元プロボクサー
  • 世界ランキング最高7位
  • 東洋太平洋タイトル獲得

20年以上のボクシングキャリアを活かし

  • ボクシング特化型パーソナルトレーナー
  • トレーナー育成講師
  • プロ専門ボクシングトレーナー

として活動しています。
担当した選手がチャンピオンベルトを獲得した数は10本以上。勝率はプロボクシング界の中でもトップクラス。

ボクシング好きなあなたに役立つボクシング情報を発信していきます。

  • 本記事の内容

ボクシングの試合で勝つために必要なメンタル:3つの要素

心技体という言葉がありますよね?その中でも技術や体力は練習で培っていくイメージがつきやすいですが、心の部分であるメンタルも練習で培っていくことができます。

勝つために大切なメンタル作りにはいろんな要素がありますが、今回は以下の3つに絞って解説していきます。

  1. 自信の作り方
  2. 物事をポジティブに捉える方法
  3. 諦めない気持ちの作り方

勝つためのメンタル戦略❶自信の作り方

自信の作り方として以下の3つの自信をつけていくと良いでしょう。

  1. 根拠のある自信
  2. 根拠のない自信
  3. 技術面での自信

根拠のある自信

試合に挑む時、選手自身が「絶対勝てる!」と思って試合に挑んだ時の方が勝てる可能性は高いです。

この勝てる!という気持ちを作るために大切なのが、根拠のある自信をつけること。

根拠のある自信をどのようにつければ良いか?

練習です。
練習量を積むことで、これだけ練習したんだから絶対に勝てるだろうという自信、これだけやったからスタミナが切れることはないだろうという自信がつきます。

根拠のない自信

根拠のない自信もあった方が良いです。しんどい時や劣勢の局面に立っても、何とかなるでしょという楽観的な思考のことです。

僕も割と根拠のない自信があります。笑
こちらも作れれば大切にして欲しいです。必要な場面があります。

技術面での自信

技術面での自信のつけ方は、成功体験を増やすこと。

試合の日までに、試合で使うテクニックや技術・戦略を繰り返しやってください。

対戦相手に対しての対策のコンビネーションが一つあったとしたら、スパーリングで様々な相手に繰り返し試しましょう。
成功する回数を増やしていくことで、これは使える、当たるという自信がついてきます。

一つできたら次のコンビネーションを繰り返し練習し、成功パターンを増やしていくと、勝てるという自信につながります。
逆に練習で失敗体験があった時は、そのままにしておくと自信がない状態で、試合に挑むことになると思います。

練習は練習だからと開き直れるメンタルの持ち主以外は、成功体験を増やすことを意識しましょう!

ポイント

自信をつけたい人は成功体験を増やそう!

勝つためのメンタル戦略❷物事をポジティブに捉える方法

試合中に何か悪いことが起きた時、練習してきた一つのパターンが通用しない時、これをポジティブに捉えることができると、その後の展開が変わってきます。普段から意識することでポジティブに捉える癖がつきます。

ポイント

生活の中でネガティブなことが起きた時に、ポジティブな言葉に言い換えてみましょう!

自分にとって良くないことが起きた時に「やっぱり自分はダメだ」と捉えていませんか?
そんな人はまず、最初から自分がネガティブな方向に物事を考えていることに気づきましょう。

試合前に負けたらどうしようと考えてしまう人は、勝つ自分より、負ける自分のイメージを強く持っています。
初めからネガティブに捉えていると、自分の戦略がハマらなかった時にやっぱりうまくいかない…と、諦めてしまう。
巻き返せるかもしれない可能性を放棄してどん底にハマっていきます。

上手くいかなかったとしても、違うパターンでやってみようと切り替えられると勝てる可能性は上がります。

具体例を挙げて解説していきます。

  1. 用意してきたコンビネーションが攻撃として当たらない時
  2. 試合前や試合中に怪我した時

具体例❶用意してきたコンビネーションが攻撃として当たらない時

当たらないならフェイントに使えば他のパンチが当たるかもしれない

という風に考えてみましょう。

相手からしたら、何をやっても対処してくるという焦りから、心が折れてしまい戦意喪失なんてこともあります。
こうなったら優勢。技術で劣っていても逆転勝利を狙うことができます。

具体例❷試合前や試合中に怪我をした時

例えば右の拳を怪我した場合。

左を中心に組み立てて、怪我をした右手は捨てパンチとして使おう

と考えてみましょう。

オーソドックスの選手は特に、大きな武器が減るので焦ってしまうと思いますが、自分の左を伸ばすチャンスだと捉えると強気に攻撃に行けます。

ここまで読んで、そんなに簡単に切り替えるほどパターンが出てこないと思った方は多いのではないでしょうか。
安心してください。試合でいきなりこれをやるのは天才じゃない限り難しいです。

そのために練習があります。練習の時にいろんなパターンを想定して、動きを染み込ませておくことが大切です。

右が折れたら左だけでこんな風にボクシングを組み立てよう、それを事前に用意しておくのです。
全てを網羅するのは難しいので、相手選手を見て、その都度必要なパターンを用意しましょう。

用意しておくだけでも、試合中に心の余裕が持て、自然とポジティブに捉えて試合を運んでいくことができます。

勝つためのメンタル戦略❸諦めない気持ちの作り方

諦めない気持ちは、作れます。

練習量・練習内容で作る

あれだけ練習したんだから絶対に負けるわけにはいかない。やってきたことを無駄にはしない。

日頃の努力を重ねてきた人はそんな風に思えます。

自然に湧いてくる気持ちで作る

私生活の中で原動力を見つけることも大事です。

応援してくれる人たちのために、ここで絶対に諦めたくない

自分の夢のためにここは絶対に負けたくない!

こんな風に自然に湧いてくる気持ちを大切にしてください。

諦めない気持ちの原動力:僕がフィリピンで試合をした時の実体験

僕も諦めない気持ちが勝利につながった実体験があります。僕の諦めない気持ちの原動力は息子でした。

フィリピンで試合した時、急に試合が決まったこともあり、試合前の調整がかなりきつかったです。そんな状態の中、3Rであばらを骨折。痛みでインターバル中は座ることができず、体力的にも精神的にも追い込まれましたが、脳裏に浮かんだ息子の存在が自分を奮い立たせました。

日本で待ってる息子を思うと、死んでも負けない、絶対負けない、このくらいじゃ絶対に倒れない。
そんな気持ちが湧いてきて、結果、11ラウンドTKOで勝って日本に帰ることができました。

僕は基本的に気持ちさえあれば勝てると考えることはありません。
相手の分析や技術面の対策をして、勝つための根拠をしっかり作ることを重要視しています。
しかしそれを超えた先にはやはり、気持ちが大切なのだと身にしみて実感したのがこの試合でした。

息子がいなかったら諦めていたとも思いますし勝てなかった。
だから諦めない気持ちを持つことは大切だと選手にも話しています。

メンタルを支える原動力はなんでもいい

僕の場合は息子が原動力でしたが、そう言った気持ちは自分が熱くなれるものであればなんでもいいです。

練習量、努力の量、大切な存在、夢、意地、ただただ負けたくない気持ち。なんでもいいと思います。
強い気持ちで試合に挑むのが、きつくなってきた時に諦めずに戦える原動力になります。

それをぜひ見つけてください。

ボクシングの試合で勝つためのメンタルは練習で培える

今回の記事では、勝つために必要な要素を3つに絞ってお話ししてきました。

自信を作る・物事をポジティブに捉える・諦めない気持ち。
いずれも練習でも培えるものだということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

  • 練習量をこなす・成功体験を増やすことで自信をつける
  • 技術やスタミナがつくことで自然と自信がつく
  • 普段からポジティブに言い換える練習をする
  • いろんなパターンを想定した練習をしておくことで劣勢の場面をポジティブに対処することができる
  • 諦めない気持ちを持っている方が最後は勝てる
  • 日々努力を重ねてきた人は簡単に諦めない
  • 諦めない気持ちの原動力を見つけておく

試合が決まった時は是非意識して欲しいです。

他にも、メンタルの保ち方にはいろいろ方法や考え方があります。
メンタル面は、試合の時以外でも様々なことに作用してくるので、悩みや気になることがあればお気軽にご相談ください。

また、勝率を上げる練習については以下の記事もご参考ください。

勝つためにやるべきこと:自分の特性を活かし距離感と感覚をマスターする方法|ボクシング講座

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