こんにちは椎野です。
今日はボクシングのディフェンス技術の一つ、「パーリング」についてお話しします。パーリングは、相手の攻撃を巧みにかわし、反撃のチャンスを作る重要な技術です。特に日本のアマチュアボクサーにはこの技術を得意とする選手が多く、その基本から応用、メリット・デメリットや効果的な練習方法までを深掘りしていきたいと思います。
- この記事を書いた人
- 元プロボクサー
- 世界ランキング最高7位
- 東洋太平洋タイトル獲得
20年以上のボクシングキャリアを活かし
- ボクシング特化型パーソナルトレーナー
- トレーナー育成講師
- プロ専門ボクシングトレーナー
として活動しています。
担当した選手がチャンピオンベルトを獲得した数は10本以上。勝率はプロボクシング界の中でもトップクラス。
ボクシング好きなあなたに役立つボクシング情報を発信していきます。
- 本記事の内容
- 1. パーリングとは
- 2. パーリングの基本
- 3. 応用と注意点
- 3.1. パーリングの応用
- 3.2. パーリングの注意点
- 3.2.1. 注意点①動作を大きくやりすぎないようにしましょう
- 3.2.2. 注意点②パーリングしたらすぐに構えに戻しましょう
- 4. パーリングのメリット・デメリット
- 4.1. メリット:自分の顔から遠いところでディフェンスできること
- 4.1.1. 例①パーリングは2段階のディフェンスが可能
- 4.1.2. 例②突っ込んでくる相手に対するパーリング
- 4.1.3. 例③オーソドックス同士で戦う場合のパーリング
- 4.2. デメリット:近いところで使うとリスクがあること
- 5. パーリングの効果的な練習方法
- 5.1.1. パーリングの効果的な練習方法は条件マス
- 5.1.1.1. 打ってきたパンチをパーリングできるようになったら、次はパーリング後の打ち返しを意識してみましょう
- 5.1.1.1.1. STEP①単発で返す
- 5.1.1.1.2. STEP②コンビネーションで返す
- 6. パーリングのコツ
- 7. パーリングを効果的に使う方法
- 7.1. 例①バックステップやサイドステップをしながらのパーリング
- 7.2. 例②前に出ながらのパーリング
- 8. まとめ
パーリングとは
パーリングは、相手のパンチをはたき落とす、払うなど、手の平で相手のパンチを防御するディフェンス方法です。日本では特に、アマチュア出身の選手は上手な人が多いと思います。最初に習うディフェンスがパーリングなことが多いので、得意な選手が多い印象です。
パーリングの基本
基本的にはストレートパンチに対するディフェンスで使います。向かい合って構えて、まっすぐ打ってきたパンチを手の平で払います。基本的には、相手の左手のパンチに対しては、自分の右手で、右手パンチに対しては左手で払い落とします。これはオーソドックスでもサウスポーでも一緒です。構えた時に向かい合っている手のパンチに対して使います。構えが変わるとワンツーが順番が逆になるので、ディフェンスも逆になります。
応用と注意点
パーリングの応用
相手の左パンチを左手で払い落として、右手で反撃するやり方もあります。あまり捉われすぎないようにやってみてください。
パーリングの注意点
注意点①動作を大きくやりすぎないようにしましょう
パーリングを大きくやりすぎると隙が出来ます。パンチが抜けてくるリスクが増えるので、できるだけ小さく行うことを意識してやってみてください。
注意点②パーリングしたらすぐに構えに戻しましょう
肘を動かしすぎず、手首を上手く使って相手のパンチを払い落とすようにすると、隙が出来にくいと思います。
パーリングは、アッパーに対しても使えるディフェンスなのですが、やや上級者向けだと思います。
パーリングのメリット・デメリット
メリット:自分の顔から遠いところでディフェンスできること
例①パーリングは2段階のディフェンスが可能
パーリングに失敗してもスウェーバックにして避けるなど、2段階のディフェンスが可能です。また、動きが止まりにくいため、ステップしながらでもやりやすく、動き続けながらディフェンスができます。後ろに下がりながらのパーリング、その場でのパーリング、前に行きながらのパーリング、どれも使えます。
例②突っ込んでくる相手に対するパーリング
バックしながらのパーリングは、相手が突っ込んでくるタイプの選手には有効です。
またその場でパーリングして、相手にプレッシャーを常にかけるということもできます。
サウル・アルバレス選手がよく使ってるのは、前に圧をかけながら、前にパーリングする。そしてリターンする。こういった使い方もできます。
例③オーソドックス同士で戦う場合のパーリング
右構え対右構え(オーソドックス同士)の場合、相手のジャブを右手で払ってこちらが左ジャブを打ち返すというのもリターンが早いです。パーリングは、遠い距離で攻防一体しやすいディフェンスになります。
デメリット:近いところで使うとリスクがあること
近いところでパーリングするとどうしても顔が空きやすいので、使えるのですが上級者向け・応用編と思っていただければと思います。
パーリングの効果的な練習方法
パーリングの効果的な練習方法は条件マス
パーリングはストレートパンチに対するディフェンスが主になるので、相手にジャブやストレート、ワンツーを打ってもらい、それをパーリングする練習を多く行いましょう。数をこなすことによって、自然と意識せずにパーリングができるようになってくると思います。
打ってきたパンチをパーリングできるようになったら、次はパーリング後の打ち返しを意識してみましょう
STEP①単発で返す
例えば相手のジャブをパーリングしてからジャブで返すなど、基本的な反撃から始めましょう。ジャブができたら今度は相手のストレートをパーリングしてパンチを返す、相手のワンツーをパーリングしてパンチを返すなど、初めは単発で返していければ良いでしょう。
STEP②コンビネーションで返す
慣れてきたら、コンビネーションで返す練習を加えてください。 また、シャドーボクシングでも防御動作を意識することが大切です。攻撃に意識が向いてしまいがちですが、パーリングをしっかり意識して行いましょう。
パーリングのコツ
パーリングのコツは、相手のまっすぐきたパンチを斜め下、または応用編では斜め上にパンチの軌道をずらすことを意識して、手首を使って行うことです。手首をロックして使うと動作が大きくなりがちで、顔が空いてしまうので注意してください。
パーリングを効果的に使う方法
パーリングの効果的な使い方としては、動きながらパーリングを行うことで相手のバランスを崩すことができます。
例①バックステップやサイドステップをしながらのパーリング
突っ込んでくる相手に対してはバックステップやサイドステップを取りながらパーリングすることで、相手のバランスを崩しリターンを返す方法があります。
例②前に出ながらのパーリング
前に出ながらパーリングで相手にプレッシャーをかけつつカウンターを狙うことも可能です。例えばサウル "カネロ" アルバレスは階級の中では背が低い選手ですが、この方法で相手の長いリーチをパーリングでつぶしながら自分の距離に持って行く戦い方をしています。
パーリングはその相手のバランスを崩す、または相手にプレッシャーをかけるという使い方もできるので、動きながら、前に出ながら、下がりながら、サイドに動きながら使うことができると、ボクシングの幅が広がるでしょう。
まとめ
パーリングは、ディフェンスやカウンターを狙うのに効果的な技術です。手首の使い方や動作を小さく保つことでパーリングを有効に使うことができます。パーリングをマスターし、ディフェンスに自信を持って戦えるようにしていきましょう!
パーリングは僕も現役時代に重宝していたディフェンス方法です。テンポの速い攻防を目指している方はぜひマスターしてください。