こんにちは椎野です。
今回はボクシングにおける「根性」についてお話ししていきたいと思います。
はじめに言っておくと、僕が指導するときは「根性」の優先度は一番ではありません。
選手の特性やポテンシャルを最大限引き出すためには、選手自身が考えて動けるように自主性をもたせたり、やる気が出るような声がけを優先しています。また、スパーリングで倒されてしまったときなども、相手の分析結果に基づいて動きの修正するなどの指導法をとっています。
根性が最優先ではない。しかし根性は大切だと思っています。
今回は、根性の実態とは何なのか、そして根性がどのようにして選手のパフォーマンスに影響を与えるのかについても深掘りしていきたいと思います。
※3分ほどで記事は読み終わります。根性に対する考え方を取り入れると、さらなるボクシングのレベルアップに繋がる行動ができるはずです。
- この記事を書いた人
- 元プロボクサー
- 世界ランキング最高7位
- 東洋太平洋タイトル獲得
20年以上のボクシングキャリアを活かし
- ボクシング特化型パーソナルトレーナー
- トレーナー育成講師
- プロ専門ボクシングトレーナー
として活動しています。
担当した選手がチャンピオンベルトを獲得した数は10本以上。
勝率はプロボクシング界の中でもトップクラス。
ボクシング好きなあなたに役立つボクシング情報を発信していきます。
- 本記事の内容
根性とボクシング
日本のスポーツ界でよく耳にする「根性」という言葉。多くの人が「根性があれば勝てる」とか「最後は根性だ」と聞いたことがあるでしょう。僕は、根性というのはあって当たり前だと思っています。特に、技術、体力、身体能力、スタミナなどの能力に関して、対戦相手との能力が拮抗している場合、最後は根性の勝負になるといえます。
根性だけで戦う限界
根性とは、「心技体」の「心」の一部分を指します。根性というのは、あって当たり前。ボクシングでチャンピオンになりたい、ボクシングで上に行きたいと「本気で」思っている選手に関しては、そこの根性というのはあって当たり前のものだと思っていてほしいです。
強い選手で根性がない選手はほとんどいません。
ただし、根性というのは、体力や技術が伴って初めて意味のあるものになります。ボクシングでいえば、スタミナもない、パワーもない、体力もない。そんな状態だと、根性を発揮する前に試合が終わってしまうからです。
技術が全くない場合も同じです。ディフェンス能力、オフェンス能力がなく根性があっても、発揮する前に倒されてしまう。
根性だけでは立っていられないので、技術や体力が必要になってきます。
根性を強さに変えるには
「根性」とは、絶対に負けたくない、絶対に諦めない、絶対にチャンピオンになりたいという野望や執念から生まれるものです。単に目の前の相手に負けたくないという気持ちでも良いですが、その気持ちの強さが厳しい場面で「根性」として自分の強さに変わることがあります。そのため、普段の練習から体力と技術をつけて準備することが重要です。
また、練習自体においても普段から根性が求められます。より追い込んで練習ができるか、より自分に厳しい練習を課せられるかどうか、という意味でも根性が必要です。その練習で培った体力や技術を生かしつつ、試合の最後には「心」や「根性」が必要になります。
効果的に根性を発揮するために
さて、ここまでで「根性は技術と体力あってのもの」ということがお分かりいただけたと思うのですが、ここからは選手が根性を発揮するために僕が意識していることをお話します。
僕は指導する立場としては、根性論を押し付けることはありません。繰り返しになりますが、技術と体力を身につけることが先決。「最後は根性だ!」といえるレベルというのは、てっぺんを決める戦いや、決勝戦で使われる言葉だと考えています。
技術と体力のレベルがそれ相応に備わった上で、最後に気持ちで背中を押す「根性」が重要になります。
また選手自身が、根性は技術や体力がなければ意味がないということも理解しておく必要があります。
なのでパワーのつけ方、スピードのつけ方、スタミナのつけ方、そして技術。ボクシングでは、ボクシング技術、オフェンス技術、ディフェンス技術を伝えた上で、最後に根性という要素で気持ちを奮い立たせる方法を使います。
普段から根性論を強調しすぎると、ただ打たれるだけでなく、打たれても前に出てダメージを受けたり、怪我をしたりすることが多くなります。そういう選手は、トップに行く前につぶれてしまうことが多いので、まずは最低限の体作りと技術の習得に焦点を当てるべきだと考えています。
まとめ
以上のように、根性はスポーツにおいて重要な要素ですが、それだけでは不十分です。技術や体力といった基本的な能力が伴って初めて、根性が真価を発揮することができます。したがって、根性を持つことは大切ですが、それを支える体力と技術の向上にも同じくらい、あるいはそれ以上に努力を注ぐことが求められます。