パンチを強く打つためには、正しいフォームや力を入れるタイミング、脱力するタイミングを知り、パンチ力を上げるためのトレーニングをすることが大切です。
この記事では、強いパンチが打てる人にはどんな特徴があるのか、また、強いパンチを打つために効果的な練習方法を解説していきます。
パンチはあるのに試合でいまいち倒しきれない、パンチを打つ時に思うように力が入らない、そんな風に感じている方は是非参考にしてみてください。
- この記事を書いた人
- 元プロボクサー
- 世界ランキング最高7位
- 東洋太平洋タイトル獲得
20年以上のボクシングキャリアを活かし
- ボクシング特化型パーソナルトレーナー
- トレーナー育成講師
- ボクシングオンラインサービス【ガチボクオンライン】
を行うボクシングトレーナーです。
担当選手がチャンピオンベルトを獲得した数は10本以上。
勝率はプロボクシング界の中でもトップクラス。
ボクシング好きなあなたに役立つボクシング情報を発信していきます。
本記事の内容
強いパンチを打てる人の特徴5選
強いパンチを打つことができている人は以下の5つの特徴があります。
- 正しいフォームができている
- 体幹をブレずに使えている
- 脱力し速いスピードで打てている
- 拳の良いポイントで当てている
- インパクトがしっかりしている
❶正しいフォームができている
強いパンチが打てる人は正しいフォームでパンチを打てている人です。
まず知っておいてほしいのは、強いパンチを打つためには、下半身と体幹の力をしっかり使う必要があるということです。
これは、全身の中で最も強い筋肉が下半身と体幹にあるからです。腕の力はそれに比べてはるかに弱いものです。例えば、足でジャンプするのは簡単ですが、手で逆立ちしてジャンプするのは非常に難しいですよね。
筋肉が発達しているのにパンチが弱い人は、下半身と体幹を使った正しいフォームができていないことが原因です。筋肉がある人は、腕力に頼ってしまい、パンチが「手打ち」になることがよくあります。
一方で、筋力が少ない人でも、全身をうまく使ったフォームで打てば強いパンチが可能です。
実際、男性よりも筋力の少ない女性の方が、きれいなフォームで打てることが多いですが、これは力に頼らない打ち方をしようとするからです。
このように、正しいフォームを意識し、拳に最も力が伝わり、最もスピードが出る打ち方をすることで、強いパンチを打てるようになります。
❷体幹をブレずに使えている
パンチを当てた際にその衝撃を受け止めたり、そこから相手を打ち抜くためには、体幹(腹部のコア)の筋肉が必要です。
これが弱いと、衝撃に体が負けてしまい、強く打ち込むことができません。
下半身で地面をしっかりと掴み、体幹がそれを支えることで、パンチの衝撃を逃さずに相手に伝えることができます。
パンチ力が強い人は、下半身と体幹が安定してぶれない選手が多いです。
❸脱力し速いスピード打てている
脱力とは、その名の通り、力を抜くことで、これが出来ることで体の連動がスムーズになります。
強いパンチを打つためには、力に頼らないことが重要です。例えば、30キロの重りを持ち上げるとき、手の力だけで持ち上げようとすると大変ですよね?楽に持ち上げるためには、全身を使うことが大切で、脱力することで全身がうまく連動するようになります。
パンチを打つときも同じで、力を抜くことで拳のスピードが速くなるだけでなく、全身の力を拳に乗せることができます。力を入れるのは、パンチが相手に当たる瞬間だけです。
脱力し、全身の力を使って「楽に」「強く」「速く」打つことを意識する必要があります。
❹拳の良いポイントで打てている
拳のナックルパート(中指と人差し指の拳頭部分)で当てられていることが重要です。手首をしっかり固めて拳をにぎってパンチを当てます。当たる瞬間に手首を使ってパンチを返す(拳を返す)選手もいますが、使いこなせればダメージを効かせやすいパンチを打てますが、怪我をしやすいので初心者にはオススメしません。初心者の方は、小指の方で当たったり手首が上を向いた状態(第二関節あたりに当たる)で打ってしまいがちです。練習後に拳のどの部分が赤くなってるかを注意してみてください。小指のナックルパートの皮が剥けていたり赤くなっている方は良いポイントで打てていませんので改善する必要があります。
❺インパクトがしっかりしている
意外ですがフォームや体重移動などよりも大事なポイントです。インパクトとは、パンチのインパクトのことですが、当たる瞬間の拳の当て方、握り方、拳の返し方(極め方)のことです。どれだけ良いフォームで体重移動をしっかりしても、当てる瞬間に拳を極められていなかったら力が全て伝わらないと言ってもおかしくありません。
例えば、糸の先に鉄球をつけて振ってぶつけるとします。この鉄球がスポンジのように柔らかかったら重くても効かないですよね。これが拳が極められていないパンチです。
「強いパンチを打てる人の特徴がわかったけど、実際どんなトレーニングが必要なのか?」と思った方のために効果的なトレーニングを紹介していきます。
強いパンチを打つための効果的な3つの方法
一人でも行える効果的なトレーニングを具体的に3つ解説していきます。
- 正しいフォームを知る
- 拳立てをする
- チューブトレーニング
❶正しいフォームを知る
踏ん張りがきく足の幅(肩幅より少し広め、肩幅の二倍くらいまで)、利き足を後ろに、つま先は両方45度くらい斜めに構える。手の位置は顎より下に下げず、肘が体から離れないように脇を締めて構える。そのまま足腰肩を回しながら、膝から膝への体重移動がスムーズにできる幅を意識してください。この体の回転の勢いを拳に乗せてパンチを打ち、当たる瞬間に拳をにぎって当てることで強いパンチを打つことができます。
❷拳立てをする
腕立て伏せを拳で行います。
意識するポイントは、拳の拳頭部分(人差し指と中指のナックルパート)を地面に当てて、手首を固めることです。ストレート強化なら肩幅、フック強化なら広めの幅で行ってください。お腹に力を入れて、頭からかかとを一直線に保つように心がけてください。(お尻が下がると腰を痛める可能性があります。反対にお尻が上がると、腹筋が使えていない場合があります。)拳立ては、普通の腕立て伏せの効果に加えて、拳が強くなるので打った時に拳を痛めにくくなります。同時に手首を固めるトレーニングにもなり、パンチの質が向上。体幹も鍛えられます。
❸チューブトレーニング
ゴムチューブを柱などに引っ掛けて行います。チューブを手で持って、パンチの練習をしてみましょう。ポイントは、下半身を踏ん張れる幅で利き足を後ろに構えて、背骨を軸に、足腰肩をしっかり回して全身でパンチを打つようにしてください。
例えばストレートパンチなら、腕は最大限動かす意識で肩甲骨が開くくらいに伸ばしきりましょう。拳の向きは、手の甲が上向きの状態で当てるイメージで行ってください。
フックやアッパーの練習はチューブが体に引っかかりやすいのであまり向かないかもしれません。しかし体の回転を鍛えることはできます。その場合は、柱などにチューブを引っ掛けて柱に対して横向きて構えます。足は肩幅の倍くらいに開き、膝が軽く曲がる程度に重心を落とします。その状態で腕を伸ばして両手でチューブを挟み、体の回転を使ってチューブを引っ張ることでパンチを打つ際に必要な足腰と体幹のひねりのトレーニングになります。左右どちらの向きでも行いましょう。
チューブはいろんな種類があるので、迷う方は下記のようなタイプのものがオススメです。僕が使ってた一番シンプルなタイプのゴムチューブです。ジムに持って行って柱に巻きつけて使ってました。自宅でパンチトレーニングをしたい方は、結べる場所があるかどうか確認してください。何回も使うと破れることもあるので、ローテーションで使うのをオススメします。
強いパンチの打つ方法まとめ
今回は強いパンチの打ち方を解説しました。強いパンチを打つためには以下を意識することが重要です。
- 全身を使った正しいフォームで打つ
- 体幹(腹部のコア)を鍛える
- パンチを打つ時は脱力しスピードを上げることと当たる瞬間に拳をしっかり握ることを意識
- 拳のナックルパート(中指と人差し指の拳頭部分)で当てる
- 拳立てをすることで拳、手首、体幹を鍛える
- 体の回転を使ったチューブトレーニングをすることでパンチを打つ際に必要な足腰と体幹のひねりを習得する
強いパンチにも種類がありますが、一番強い(ダメージを与える)のはスピードに乗った拳をしっかり握って打つことです。ぜひ意識してみてください。
というわけで今回は以上です。
各種パンチ講座は過去記事で解説しています。合わせてご覧ください。