
ボクシングという競技において「減量」は、避けて通れないものです。
しかし、減量の失敗は単に「体重を落とせなかった」だけの問題ではありません。
体調を崩し、試合で動けなくなったり、時には命を落とすこともある。
僕自身、現役時代に倒れた経験があります。
また、トレーナーとして選手の減量を見てきた中でも、
「これは危ない」と感じる場面は何度もありました。
今回は、「減量失敗ははぜ起こるのか?」というテーマで、
現場で感じてきたことを率直にお話ししたいと思います。
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減量失敗は「数字」だけの問題じゃない

ボクシングでは試合前日に計量を行い、
その体重が基準を超えていれば「計量オーバー=減量失敗」と言われます。
でも、僕の中ではそれだけじゃありません。
「体重が合っていても、試合で動けなければ、それは減量失敗です。」
数字だけ合わせても、コンディションが壊れていたら意味がない。
むしろ、それが一番怖い減量です。
停滞期の正体──“体が痩せるのを拒否する瞬間”

減量をしていると、必ず訪れるのが“停滞期”です。
どんなに動いても、どんなに食事を抑えても、まったく体重が落ちない。
これは、体が「これ以上痩せたら危険だ」と判断して、
防衛反応を起こしている状態です。
焦ってさらに食べないようにしたり、
急激に水分を抜いたりすると、逆に代謝が止まってしまう。
焦らず、体と相談しながら落としていくのが正しい減量です。
「痺れたら、もう危険信号」

減量の最終段階、“水抜き”に入ると、
1日で4〜5キロ落とす選手もいます。
しかしここが一番危険です。
僕自身、現役の頃に倒れたことがあります。
銭湯で半身浴をして、立ち上がった瞬間に意識を失いました。
頭が割れるように痛くて、
「あと1.5キロ…どうしよう」と、焦りながらも無理をしていました。
選手の中には、水抜きの途中で「体が痺れてきた」と言う人もいます。
それはもう完全に危険信号です。
「水抜きは一人でやっちゃダメです。必ず誰かがついて見ていないと危険です。」
僕も選手を見ていて、
水抜き中に倒れそうになる場面を何度も経験しました。
命に関わるので、本当に注意してほしいと思っています。
危険な方法──下剤も採血も“減量”じゃない

これは断言します。
下剤を使ったり、採血で体重を落とすのは減量ではありません。
動けなくなるし、試合で戦える体ではなくなります。
それは命を削る行為です。
「そこまでして出るくらいなら、試合をやめた方がいい。」
プロとして試合を飛ばすことの重さは理解しています。
でも、命を失ってしまったら、それで終わりです。
減量とは、「リングに立つための準備」であって、
「命を削る行為」ではありません。
トレーナーとしての責任──止める勇気

僕の指導の中で、一番厳しく向き合わなければいけないのは、
「減量を甘く見ている選手」に出会った時です。
中には、体重を誤魔化して報告してくる選手もいました。
試合の1週間前に「あと3キロです」と言っていたのに、
実際は5キロ以上オーバーしていた。
その時は、はっきり言いました。
「罰金を払ってでも試合をやめろ。」
それは、体調の問題じゃありません。
“プロ意識の問題”です。
試合を作ってくれるプロモーター、
チケットを買ってくれるお客さん、
相手選手──みんながその一戦に関わっている。
減量を怠るというのは、
そうした人たちすべてに対して不誠実な行為だと思っています。
「命を懸ける覚悟」と「自分を甘やかす言い訳」は、紙一重です。
だからこそ、トレーナーとして、
時には“止める勇気”を持たないといけない。
甘さを見逃すことは、選手のためにもならないんです。
減量がメンタルを壊す理由

減量中の選手は、常に焦りと戦っています。
「あと何キロ落とさなきゃ」と頭の中がそのことでいっぱいになり、
練習に集中できなくなる。
相手の研究をする時間も、技術練習の余裕も奪われていく。
結果、ボクシングそのものが“体重を落とすための作業”に変わってしまうんです。
だから僕は、減量を「体を削る時間」ではなく、
“自分を整える期間”と考えてほしいと思っています。
“壊れない減量”を作る3つの基本

僕が現場で伝えているのは、
次の3つです。
- 普段から体重を増やしすぎない
- 食べながら落とす
- 水を我慢しない
炭水化物を完全にカットするのは、ボクサーには向きません。
糖質がないと体が動かない。
脂肪を落とす時期でも、エネルギーは必要です。
水も同じです。
喉が渇いた状態というのは、それだけで動きが鈍くなる。
僕は脂肪を落とす時期なんかは、水をバンバン飲んでいました。
計量後の“戻し”も戦術の一部

計量が終わったあと、どこまで体重を戻すか。
これは試合スタイルで変わります。
僕は53.5kgで計量して、
試合当日には59〜60kgくらいに戻すのが一番動けました。
逆に、4kgしか戻らなかった時は軽かったけど力が入らなかった。
「軽くても動けない。
重くても動けない。
“自分が一番動ける体重”を知ることが大事です。」
この「戻し」も、実は戦略の一部です。
スピードで戦うのか、パワーで押すのか。
試合の設計に合わせて調整する。
それが現代ボクシングの減量です。
若い選手へ伝えたいこと

最近は栄養士や減量トレーナーなど、
サポートしてくれる専門家も増えました。
でも僕は、まず「自分で勉強してほしい」と思っています。
誰かに任せるのではなく、
自分の体を知ること。
自分で考え、試すこと。
試合がなくても、食事を記録して、
「この食事でどのくらい落ちるのか」を実験してみてください。
そうすれば、本番の減量で焦らなくなります。
まとめ──根性の前に、命がある

減量は努力の象徴のように語られることがありますが、
無理をすれば一瞬で命を落とすこともあります。
「軽くなっても、壊れたら意味がない。
根性の前に、命がある。」
選手が“生きてリングに立つ”ために、
僕はこれからも、命を守る減量を伝えていきたいと思います。
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【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導
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