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こんにちは、ボクシングトレーナーの椎野大輝です。

今回は、アマチュアで飛ぶ鳥を落とす勢いの“怪物高校生”
藤木勇我(ふじき・ゆうが)選手 についてまとめておきます。

  • 高校生で全日本選手権優勝
  • 49戦49勝(33RSC)
  • 井上尚弥選手から「要チェックだ」「ジャブがいいね」と評価

数字だけ見てもとんでもないですが、
映像を見ていても「これはちょっと別格だな」と感じる部分が多い選手です。

この記事では、

  • 高校生で全日本制覇することの異常さ
  • 藤木選手の「プロ向きなスタイル」とジャブの質
  • 井上尚弥選手とのマススパーで見えた“世界トップとの距離感”
  • 「中量級の壁」を超える可能性
  • キッズ・高校生世代が何を意識していくべきか

について、トレーナー目線で書いていきます。

youtubeはこちら

高校生で全日本制覇するということ

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まずいちばん大きいのは、
「高校生で全日本選手権を獲った」という事実 です。

過去にも高校生全日本王者はいますが、本当に数えるほどしかいません。

  • 井上尚弥選手
  • 帝拳ジムの藤田健児選手

僕の記憶の中でも、このくらいしかパッと出てこないレベルです。

全日本選手権は、「大学生・社会人・オリンピック強化組」みたいな
“本気で世界を目指している大人”が集まる大会 です。

自衛隊体育学校のような、日本の強化の中心にいるような選手たちも出てきます。
そういう中に、高校生がポンっと入っていって優勝するわけですから、
これはもう “異常値” だと思っていいです。

  • 大人と子どもでは、そもそも身体の作りが違う
  • キャリアや試合経験も違う

その差をひっくり返して、決勝も 5-0の完勝
これだけでも「とんでもないことをやっている高校生」だと感じました。

49戦全勝33RSC──「プロ向きなスタイル」

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戦績は 49戦49勝、そのうち33がRSC
この数字から見えてくるのは、
藤木選手のスタイルが かなり“プロ向き” だということです。

実際にインターハイの映像などを見ていても、

  • 攻撃的
  • プレッシャーが強い
  • 前に出て相手を飲み込んでいく

という、プロっぽい戦い方 をしている印象が強いです。

高校生の試合だと、
相手がそのプレッシャーと攻撃力に耐えきれない場面が多くて、
「十何連続KO・RSC」みたいな結果になっていくのも納得でした。

フィジカルの強さ、攻撃力の高さが際立っている選手です。

「ジャブでコントロールする高校生」という異常値

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面白いのは、インターハイと全日本で
“見え方が違った” ところです。

  • インターハイ → パワーとプレッシャーで一気に潰す印象
  • 全日本 → 一階級上のウェルター級で、大人相手をジャブでコントロール

藤木選手はもともとライト級で戦っていましたが、
全日本では階級を上げてウェルター級で出場しています。

一回り体格の大きい相手、大人の社会人選手たちと戦う中で、
「パワーだけでは潰し切れない局面」 が増えていきます。

そこで見せたのが、

  • ロングレンジだけじゃなく
  • 中間距離でも機能するジャブ
  • ジャブで試合を作り、相手を崩していくボクシング

でした。

高校生というより、
「キャリアを積んだ選手の戦い方」 をしているなと感じました。

高校生というと、

  • 勢い
  • スピード
  • テンポの良さ

を武器にしている選手が多いですが、
藤木選手は “ジャブを中心に試合を組み立てる” ことができている。

これは相当な技術レベルです。

「ジャブを制する者は世界を制す」を体現している

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ボクシングの世界では、

「ジャブを制する者は世界を制す」
「左を制する者は世界を制す」

とよく言われます。

左手──つまり ジャブをどれだけ使いこなせるか が、
世界レベルで戦うための大きな基準になるからです。

今回の全日本選手権は、まさにそれを
藤木選手自身が証明していた大会 だったと思います。

  • 自分より体格が大きい相手
  • 大人の選手たち
  • 一階級上のウェルター級

その中で、ジャブで試合をコントロールし続ける高校生

「17歳でここまでジャブを使えるのか」と、素直に驚きました。

井上尚弥とのマススパーで感じた“世界の距離”

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藤木選手は、過去に井上尚弥選手とマススパー をしています。

強度がどれくらいだったかは分かりませんが、
世界トップ中のトップと拳を交えて

「パンチを出させられている感覚」
「動かされている感じ」

と感じたと話していました。

世界トップの選手とやると、
単純なスピードやパワーだけじゃなく、

  • 相手をコントロールする力
  • 距離の作り方
  • タイミングの外し方
  • 技術の使い分け

このあたりの“レベルの違い”を、嫌でも感じさせられます。

僕自身も現役時代に、

「なんで自分より小さいのに、向こうのパンチは届いて、こっちのパンチは当たらないんだろう?」

と感じさせられる相手はいました。

映像だけ見ると、

  • スピード負けしているようには見えない
  • 変なことをしているようにも見えない

でも、リングの上だと
「パンチを当てられて、こっちは当たらない」 という現象が起きる。

それが “距離とタイミングの作り方の差” なんですよね。

井上尚弥選手クラスになると、
それを超高次元でやっているので、
「何が起きているかすぐには分からない」という感覚になると思います。

“分からなさ”から強くなる

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こういうときに大事なのは、

  • なぜ当たらないのか
  • どこでズラされているのか

考え続けること です。

同じジムで練習している先輩が相手なら、

「なんでこっちのパンチは当たらないのに、そっちのパンチは当たるんですか?」

と、素直に聞いてしまえばいいと思います。

もちろん、聞いた瞬間に全部分かるわけではありません。
その後のスパーやトレーニングの中で、

「あ、これかもしれない」

と、少しずつ掴んでいくものです。

僕自身も、そういった感覚が整理されてきたのは
ボクシングを始めて 8〜9年経ってから でした。

  • アマチュアのときは、正直そこまで考えられていなかった
  • プロになって、余裕が出てきてから気づいたことが多かった

藤木選手は、17歳にしてその“分からなさ”をちゃんと感じていて、
しかもそれを 面白がれるタイプ だと思うので、
ここからの伸びしろはとんでもないと思います。

「ボクシングが青春」というメンタリティ

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17歳って、普通なら

  • 友達と遊びたい
  • カラオケ行きたい
  • 遊びに誘われたら行きたい

という年齢です。

その誘惑があって当然だし、
周りの友達もそういう生活をしているはずです。

その中で、

「遊びよりボクシングのほうが楽しい」
「早く練習したい」

と心から思えていること。
これは とてつもなく大きい才能 だと思います。

  • 「ある程度強くなったから満足」ではなく
  • 「まだまだ上が見える、もっと強くなりたい」と本気で思っている

こういう選手は、成長が止まりません。

トレーナーから見ても、
「この選手は全力でサポートしたい」 と自然に思わせてくれるタイプです。

「中量級の壁」と藤木勇我

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日本のボクシングは、軽量級では世界トップクラスですが、
フェザー級以上の“中量級”になると、一気に厳しくなる のが現状です。

理由はいくつかあります。

  • 中量級以上は、アメリカやヨーロッパの選手層が一気に厚くなる
  • 身体能力に優れた選手(特に黒人選手など)が多い
  • ファイトマネーも高く、世界中から選手が集まりやすい

つまり、

「そもそも母数が多い」
「身体的なポテンシャルも高い選手がひしめいている」

階級なんですね。

それでも藤木選手が
「中量級の壁を破れるかもしれない」と期待されている理由 は、やはり

  • アマチュアでの圧倒的な実績
  • 若い年代の国際大会で負けていないこと
  • しかも60kg前後の階級で“世界の同世代”に勝ってきたこと

このあたりです。

「軽量級で強い」は日本では珍しくありませんが、
60kg級前後で“世界最強クラス”と言われる高校生 は、そうそういません。

身体もこれからまだ完成していく年齢ですし、
技術も、世界トップとスパーをしながらどんどん磨かれていくでしょう。

「井上尚弥選手が軽量級でやっていることを、中量級でできる素材」

と表現されるのも、決して大げさではないと思います。

もちろん、
尚弥選手と同じことを中量級でやるというのは
とんでもないハードルです。

  • 複数階級制覇
  • 複数階級で4団体統一

これをやったのは、今のところ
井上尚弥選手とテレンス・クロフォードだけ です。

それでも、
「そういうレベルを目指していい素材だ」と言われていること自体が、
藤木選手に対する 期待の大きさ を物語っています。

プロ入りと階級について

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藤木選手は、

「プロではフェザー級から始めたい」

と話しています。

  • アマでは60kg前後で戦っていること
  • 身長が170cm前後であること

を考えると、
フェザー〜スーパーフェザーあたりからスタートするのは
妥当な選択かなと感じます。

アマではウェルター級まで経験していますし、
体もこれからまだまだできてくると思います。

  • 将来的にはライト級
  • 上手くいけばウェルター級あたりまで

十分に手が届く可能性はあるでしょう。

スタイル的にも、

  • 強いプレッシャー
  • パンチ力
  • ジャブの精度
  • ディフェンスと反応の良さ
  • ビビらないメンタル

どれを取っても 「すでにプロっぽいボクシング」 をしています。

あとは、

  • 長いラウンドに慣れること
  • 8オンス・ノーヘッドギアでの感覚に馴染むこと

このあたりを時間をかけて身体に落としていけば、
プロのリングでもかなり早い段階から
タイトル戦線に絡んでくるんじゃないかと思います。

キッズ・高校生世代へのメッセージ

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今の高校生・大学生のボクサーは、本当にレベルが高いです。

  • 小学生の頃からボクシングを始めている
  • 学校の部活で練習してから、さらにジムで技術練習をする

そんな選手も珍しくありません。

だからこそ、

「叩き上げの選手は勝てないのか?」

と言うと、僕はそうは思っていません。

大事なのは、

  • 小さいうちは「ボクシングだけ」にならなくていい
  • いろんな運動をして、自分の身体を自由に動かす感覚を身につける
  • その上で、ボクシングが本当に好きなら、オタクレベルでのめり込む

という流れだと思っています。

実際にキッズを教えていて、

  • 負けん気が強い
  • おどおどしない
  • ハキハキしている
  • 元気で、前に出る

こういう子は伸びやすいです。

そして何より、

「自分からやりたくてやっているか」
「ボクシングが好きでたまらないか」

ここが一番大きいです。

藤木選手が

「ボクシングが青春」
「早く練習したくて朝起きるのが楽しみ」

と言っているように、
“ボクシングバカ”くらいでちょうどいい と僕は思っています。

強くなりたいオタク。
ボクシングで強くなりたいオタク。

そういう選手は、やっぱり強くなります。

叩き上げの選手たちへ

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最後に、叩き上げの選手たちへ。

これから先、
藤木勇我選手のような “アマ上がり” の怪物たちが
どんどんプロのリングに上がってきます。

正直、レベルはどんどん上がっています。
でも、それに飲まれる必要はありません。

  • 叩き上げには叩き上げの強さがある
  • 工夫と努力で、アマ上がりと十分戦える

僕はトレーナーとして、
そういう叩き上げの選手たちと一緒に戦っていきたい と思っています。

藤木選手には、
中量級の壁をぶち破るくらいの活躍を、心から期待しています。

そして、この記事を読んでいる選手のみんなには、

「俺も、私も、そこに食らいついてやる」

くらいの気持ちで、
今日の練習に向かってもらえたら嬉しいです。

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しいの

【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導

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