
こんにちは、ボクシングトレーナーの椎野大輝です。
今回は、アマチュアで飛ぶ鳥を落とす勢いの“怪物高校生”
藤木勇我(ふじき・ゆうが)選手 についてまとめておきます。
- 高校生で全日本選手権優勝
- 49戦49勝(33RSC)
- 井上尚弥選手から「要チェックだ」「ジャブがいいね」と評価
数字だけ見てもとんでもないですが、
映像を見ていても「これはちょっと別格だな」と感じる部分が多い選手です。
この記事では、
- 高校生で全日本制覇することの異常さ
- 藤木選手の「プロ向きなスタイル」とジャブの質
- 井上尚弥選手とのマススパーで見えた“世界トップとの距離感”
- 「中量級の壁」を超える可能性
- キッズ・高校生世代が何を意識していくべきか
について、トレーナー目線で書いていきます。
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高校生で全日本制覇するということ

まずいちばん大きいのは、
「高校生で全日本選手権を獲った」という事実 です。
過去にも高校生全日本王者はいますが、本当に数えるほどしかいません。
- 井上尚弥選手
- 帝拳ジムの藤田健児選手
僕の記憶の中でも、このくらいしかパッと出てこないレベルです。
全日本選手権は、「大学生・社会人・オリンピック強化組」みたいな
“本気で世界を目指している大人”が集まる大会 です。
自衛隊体育学校のような、日本の強化の中心にいるような選手たちも出てきます。
そういう中に、高校生がポンっと入っていって優勝するわけですから、
これはもう “異常値” だと思っていいです。
- 大人と子どもでは、そもそも身体の作りが違う
- キャリアや試合経験も違う
その差をひっくり返して、決勝も 5-0の完勝。
これだけでも「とんでもないことをやっている高校生」だと感じました。
49戦全勝33RSC──「プロ向きなスタイル」

戦績は 49戦49勝、そのうち33がRSC。
この数字から見えてくるのは、
藤木選手のスタイルが かなり“プロ向き” だということです。
実際にインターハイの映像などを見ていても、
- 攻撃的
- プレッシャーが強い
- 前に出て相手を飲み込んでいく
という、プロっぽい戦い方 をしている印象が強いです。
高校生の試合だと、
相手がそのプレッシャーと攻撃力に耐えきれない場面が多くて、
「十何連続KO・RSC」みたいな結果になっていくのも納得でした。
フィジカルの強さ、攻撃力の高さが際立っている選手です。
「ジャブでコントロールする高校生」という異常値

面白いのは、インターハイと全日本で
“見え方が違った” ところです。
- インターハイ → パワーとプレッシャーで一気に潰す印象
- 全日本 → 一階級上のウェルター級で、大人相手をジャブでコントロール
藤木選手はもともとライト級で戦っていましたが、
全日本では階級を上げてウェルター級で出場しています。
一回り体格の大きい相手、大人の社会人選手たちと戦う中で、
「パワーだけでは潰し切れない局面」 が増えていきます。
そこで見せたのが、
- ロングレンジだけじゃなく
- 中間距離でも機能するジャブ
- ジャブで試合を作り、相手を崩していくボクシング
でした。
高校生というより、
「キャリアを積んだ選手の戦い方」 をしているなと感じました。
高校生というと、
- 勢い
- スピード
- テンポの良さ
を武器にしている選手が多いですが、
藤木選手は “ジャブを中心に試合を組み立てる” ことができている。
これは相当な技術レベルです。
「ジャブを制する者は世界を制す」を体現している

ボクシングの世界では、
「ジャブを制する者は世界を制す」
「左を制する者は世界を制す」
とよく言われます。
左手──つまり ジャブをどれだけ使いこなせるか が、
世界レベルで戦うための大きな基準になるからです。
今回の全日本選手権は、まさにそれを
藤木選手自身が証明していた大会 だったと思います。
- 自分より体格が大きい相手
- 大人の選手たち
- 一階級上のウェルター級
その中で、ジャブで試合をコントロールし続ける高校生。
「17歳でここまでジャブを使えるのか」と、素直に驚きました。
井上尚弥とのマススパーで感じた“世界の距離”

藤木選手は、過去に井上尚弥選手とマススパー をしています。
強度がどれくらいだったかは分かりませんが、
世界トップ中のトップと拳を交えて
「パンチを出させられている感覚」
「動かされている感じ」
と感じたと話していました。
世界トップの選手とやると、
単純なスピードやパワーだけじゃなく、
- 相手をコントロールする力
- 距離の作り方
- タイミングの外し方
- 技術の使い分け
このあたりの“レベルの違い”を、嫌でも感じさせられます。
僕自身も現役時代に、
「なんで自分より小さいのに、向こうのパンチは届いて、こっちのパンチは当たらないんだろう?」
と感じさせられる相手はいました。
映像だけ見ると、
- スピード負けしているようには見えない
- 変なことをしているようにも見えない
でも、リングの上だと
「パンチを当てられて、こっちは当たらない」 という現象が起きる。
それが “距離とタイミングの作り方の差” なんですよね。
井上尚弥選手クラスになると、
それを超高次元でやっているので、
「何が起きているかすぐには分からない」という感覚になると思います。
“分からなさ”から強くなる

こういうときに大事なのは、
- なぜ当たらないのか
- どこでズラされているのか
を 考え続けること です。
同じジムで練習している先輩が相手なら、
「なんでこっちのパンチは当たらないのに、そっちのパンチは当たるんですか?」
と、素直に聞いてしまえばいいと思います。
もちろん、聞いた瞬間に全部分かるわけではありません。
その後のスパーやトレーニングの中で、
「あ、これかもしれない」
と、少しずつ掴んでいくものです。
僕自身も、そういった感覚が整理されてきたのは
ボクシングを始めて 8〜9年経ってから でした。
- アマチュアのときは、正直そこまで考えられていなかった
- プロになって、余裕が出てきてから気づいたことが多かった
藤木選手は、17歳にしてその“分からなさ”をちゃんと感じていて、
しかもそれを 面白がれるタイプ だと思うので、
ここからの伸びしろはとんでもないと思います。
「ボクシングが青春」というメンタリティ

17歳って、普通なら
- 友達と遊びたい
- カラオケ行きたい
- 遊びに誘われたら行きたい
という年齢です。
その誘惑があって当然だし、
周りの友達もそういう生活をしているはずです。
その中で、
「遊びよりボクシングのほうが楽しい」
「早く練習したい」
と心から思えていること。
これは とてつもなく大きい才能 だと思います。
- 「ある程度強くなったから満足」ではなく
- 「まだまだ上が見える、もっと強くなりたい」と本気で思っている
こういう選手は、成長が止まりません。
トレーナーから見ても、
「この選手は全力でサポートしたい」 と自然に思わせてくれるタイプです。
「中量級の壁」と藤木勇我

日本のボクシングは、軽量級では世界トップクラスですが、
フェザー級以上の“中量級”になると、一気に厳しくなる のが現状です。
理由はいくつかあります。
- 中量級以上は、アメリカやヨーロッパの選手層が一気に厚くなる
- 身体能力に優れた選手(特に黒人選手など)が多い
- ファイトマネーも高く、世界中から選手が集まりやすい
つまり、
「そもそも母数が多い」
「身体的なポテンシャルも高い選手がひしめいている」
階級なんですね。
それでも藤木選手が
「中量級の壁を破れるかもしれない」と期待されている理由 は、やはり
- アマチュアでの圧倒的な実績
- 若い年代の国際大会で負けていないこと
- しかも60kg前後の階級で“世界の同世代”に勝ってきたこと
このあたりです。
「軽量級で強い」は日本では珍しくありませんが、
60kg級前後で“世界最強クラス”と言われる高校生 は、そうそういません。
身体もこれからまだ完成していく年齢ですし、
技術も、世界トップとスパーをしながらどんどん磨かれていくでしょう。
「井上尚弥選手が軽量級でやっていることを、中量級でできる素材」
と表現されるのも、決して大げさではないと思います。
もちろん、
尚弥選手と同じことを中量級でやるというのは
とんでもないハードルです。
- 複数階級制覇
- 複数階級で4団体統一
これをやったのは、今のところ
井上尚弥選手とテレンス・クロフォードだけ です。
それでも、
「そういうレベルを目指していい素材だ」と言われていること自体が、
藤木選手に対する 期待の大きさ を物語っています。
プロ入りと階級について

藤木選手は、
「プロではフェザー級から始めたい」
と話しています。
- アマでは60kg前後で戦っていること
- 身長が170cm前後であること
を考えると、
フェザー〜スーパーフェザーあたりからスタートするのは
妥当な選択かなと感じます。
アマではウェルター級まで経験していますし、
体もこれからまだまだできてくると思います。
- 将来的にはライト級
- 上手くいけばウェルター級あたりまで
十分に手が届く可能性はあるでしょう。
スタイル的にも、
- 強いプレッシャー
- パンチ力
- ジャブの精度
- ディフェンスと反応の良さ
- ビビらないメンタル
どれを取っても 「すでにプロっぽいボクシング」 をしています。
あとは、
- 長いラウンドに慣れること
- 8オンス・ノーヘッドギアでの感覚に馴染むこと
このあたりを時間をかけて身体に落としていけば、
プロのリングでもかなり早い段階から
タイトル戦線に絡んでくるんじゃないかと思います。
キッズ・高校生世代へのメッセージ

今の高校生・大学生のボクサーは、本当にレベルが高いです。
- 小学生の頃からボクシングを始めている
- 学校の部活で練習してから、さらにジムで技術練習をする
そんな選手も珍しくありません。
だからこそ、
「叩き上げの選手は勝てないのか?」
と言うと、僕はそうは思っていません。
大事なのは、
- 小さいうちは「ボクシングだけ」にならなくていい
- いろんな運動をして、自分の身体を自由に動かす感覚を身につける
- その上で、ボクシングが本当に好きなら、オタクレベルでのめり込む
という流れだと思っています。
実際にキッズを教えていて、
- 負けん気が強い
- おどおどしない
- ハキハキしている
- 元気で、前に出る
こういう子は伸びやすいです。
そして何より、
「自分からやりたくてやっているか」
「ボクシングが好きでたまらないか」
ここが一番大きいです。
藤木選手が
「ボクシングが青春」
「早く練習したくて朝起きるのが楽しみ」
と言っているように、
“ボクシングバカ”くらいでちょうどいい と僕は思っています。
強くなりたいオタク。
ボクシングで強くなりたいオタク。
そういう選手は、やっぱり強くなります。
叩き上げの選手たちへ

最後に、叩き上げの選手たちへ。
これから先、
藤木勇我選手のような “アマ上がり” の怪物たちが
どんどんプロのリングに上がってきます。
正直、レベルはどんどん上がっています。
でも、それに飲まれる必要はありません。
- 叩き上げには叩き上げの強さがある
- 工夫と努力で、アマ上がりと十分戦える
僕はトレーナーとして、
そういう叩き上げの選手たちと一緒に戦っていきたい と思っています。
藤木選手には、
中量級の壁をぶち破るくらいの活躍を、心から期待しています。
そして、この記事を読んでいる選手のみんなには、
「俺も、私も、そこに食らいついてやる」
くらいの気持ちで、
今日の練習に向かってもらえたら嬉しいです。
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【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導
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僕もこれまで、そういうタイミングを経験した選手たちを何人も見てきました。
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自分をもう一段階引き上げたいと思った時は、こちらもぜひ参考にしてください。

