
こんにちは、ボクシングトレーナーの椎野大輝です。
今回は、2025年7月30日に行われたWBA・WBC世界フライ級統一戦──寺地拳四朗選手 vs リカルド・サンドバル選手の試合についてお話しします。
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拳四朗の想定を超えた判定負け

まず、試合を見た率直な感想としては「マジか…」という言葉に尽きます。
拳四朗選手は、練習の様子も試合も近くで何度も見てきた選手で、個人的には今回“圧勝するだろう”と予想していました。
ところが12ラウンド終了時点で本人が涙を流していた。
判定前にあの表情──それだけで「ああ、思ったようにいかなかったんだな」と分かる試合でした。
前半の攻防|“試合を作ろうとしていた”が…

序盤は、拳四朗選手のプレッシャーにサンドバル選手が下がっているように見えましたが、映像を見返してみると、「矢吹戦(第1戦)」に似ている印象もありました。
ジャブは出すけれど、その後の展開がなかなか続かない。
サンドバル選手の右クロスがタイミングよく返ってきて、踏み込みも鈍る。
“追撃しにくい展開”だったことが、全体の流れに影響していたと思います。
中盤のダウンと、その後の流れ

5Rには拳四朗選手がダウンを奪って、「ここから一気に差を広げていく」と思いました。
実際、拳四朗選手はスタミナがあって、後半に強い選手。
ライトフライ級時代は特にそれが顕著でした。
でも今回は、そこからうまく流れを掴めなかった。
ジャブへの対応がされていたのもありますし、フライ級での試合という“階級の違い”もあって、相手があまり削れなかった。
結局、6R以降はほとんどサンドバル選手にポイントを持っていかれた印象です。
ジャブと“迷い”が与えた影響

サンドバル選手は試合後、「ジャブで勝った」と語っていました。
僕の見方では、“ジャブ自体”というよりも、“拳四朗選手のジャブに対する対応”が非常に良かった。
矢吹選手に敗れた試合もそうでしたが、拳四朗選手はジャブを起点に組み立てる選手です。
そのジャブが機能しなくなると、攻めの組み立てに迷いが出てしまう。
今回はまさにその典型で、アウトボクシングでいくのか、プレッシャーをかけてボディを叩いていくのか、明確な方針が試合中に見えなかった。
本人も「迷いがあった」と認めていて、それが攻撃の“行ききれなさ”につながっていたと思います。
サンドバルの強さは“想定外”

サンドバル選手については、正直ここまで上手いとは思っていませんでした。
前の試合映像を見た限りでは、もう少し拳四朗選手にとって“やりやすい相手”だと思っていた。
でも実際は、ジャブの反応も良く、クリーンヒットも目立ち、消耗しないタフさもあった。
KOされるようなパンチではないけれど、細かく印象の良いパンチを当て続けていたのがポイント的に響いたと思います。
ディフェンス強化は「まだ染み付いていない」

拳四朗選手は「ディフェンスを強化してきた」と語っていましたが、僕から見ると“何を強化していたのか”が少し見えにくかった。
ボディワークなのか、ステップなのか、ブロッキングなのか。
実戦で機能していたかというと、正直あまり印象に残る形ではなかったです。
ただ、これは仕方ない部分もあります。
キャリアを積んだ選手が、新しいディフェンス技術を急激に定着させるのは簡単なことじゃない。
やろうとしていた姿勢は見えたけど、染みつくには時間が必要だったのだと思います。
攻撃面の違和感と“決め切れなさ”

攻撃についても、“拳四朗選手らしさ”がやや薄かった。
得意の左ボディが少なかったのも気になりました。
ジャブ中心の距離感で練習していたのか、もしくはサンドバル選手の対応を嫌って出しにくくなったのか。
5R以降は、プレッシャーをかけてはいたものの、「そこから何をするか」が見えない。
相手はその間にしっかり打ってくる──つまり“攻撃での迷い”が防御の隙にもつながっていたように見えました。
戦術の明確さが足りなかった

矢吹戦(第2戦)の時は、「こうやって勝つ」というのがはっきりしていた。
でも今回はそれが見えなかった。
拳四朗選手自身が「どうやって勝つか」を掴み切れていなかったように感じました。
最後のラウンド終了後に見せた表情──あれが全てだったと思います。
「うまくいかなかった」という気持ちが滲み出ていて、あの瞬間だけは感情がはっきりと伝わってきました。
拳四朗のセコンドにいたら

もし自分がセコンドに入っていたら、5Rのダウン後から「ボディを増やそう」と声をかけたかもしれません。
ジャブが通らなくなってきていたし、左ボディを狙う展開ももっとあってよかった。
加藤トレーナーと積み重ねたあのボディ打ちは、拳四朗選手の武器です。
あれをもっと出してもよかったと思うし、相手に効かせられる技術を持っている選手だからこそ、そこに戻っても良かった。
拳四朗vsサンドバル|勝敗を分けたポイント

一番の要因は──サンドバル選手を少し過小評価していたことかもしれません。
僕も含め、拳四朗選手が“勝って当然”と思っていた空気があった。
もちろん陣営は警戒していたと思いますが、試合の組み立てや作戦の想定が少しズレていた可能性はある。
「サンドバルが下がってくる前提」で動いていたのに、実際は攻められなかった。
そのギャップが大きな差になったようにも感じます。
再戦への可能性と拳四朗の3階級制覇の行方

サンドバル選手は「再戦OK」とコメントしていました。
これは実現の可能性が高いと思いますし、拳四朗選手がフライ級でベルトを取り戻すチャンスはあると思います。
ただ、バム・ロドリゲス選手とのビッグマッチは少し遠のいたかもしれません。
今回の敗戦で“やる理由”が薄れてしまった。
拳四朗選手がスーパーフライに上げると、相手のパワーや耐久力も上がる。
今までのスタイルで通用するかどうかは慎重に見極めないといけない──そういう分岐点に立たされた試合だったと思います。
最後に

今回の敗戦は、年齢や今後のキャリアを考えても、拳四朗選手にとって大きな意味を持つものだったと思います。
まずは顔のダメージを癒し、しっかりと心身の整理をしてから、次の一手を決めてほしい。
彼がこの敗戦をどう受け止め、どう進化するか。
またリングで強い拳四朗選手を見られる日を、僕自身楽しみにしています。
技術は練習を続ければ伸びていきます。
でも、結果が出せるかどうかは“考え方”や“向き合い方”で大きく変わります。
「このままでいいのかな」「もっと成長できるはずなのに」
そんなふうに感じた時は、一度マインドを整える時間を取ってみてください。
僕もこれまで、そういうタイミングを経験した選手たちを何人も見てきました。
必要なのは、迷った時に支えになる考え方と、前を向く力です。
自分をもう一段階引き上げたいと思った時は、こちらもぜひ参考にしてください。
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【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導
分析と戦略を丁寧に行い、完全カスタマイズされた指導法、機能解剖学を活かした根拠ある指導法を基に、勝利に直結する唯一無二のボクシングを提供しています。