井上尚弥 vs アフマダリエフ｜最後の難敵をどう攻略するか

2025年9月14日、名古屋IGアリーナで開催が噂されるスーパーバンタム級世界戦。
4団体統一王者・井上尚弥選手が対戦するのは、ウズベキスタンの元2冠王者・ムロジョン・アフマダリエフ選手。

今回のカードについて、
“井上選手にとってこの試合はどれだけリスキーか？”
“アフマダリエフという選手の脅威とは？”
“勝敗はどのように決まるのか？”

トレーナー目線で解説していきたいと思います！

Youtube解説はこちら

アフマダリエフはスーパーバンタム級屈指の難敵

スーパーバンタム級の中で、井上選手にとって最もリスキーな相手はアフマダリエフ選手だと考えています。

サウスポーであり、パワー、テクニック、ディフェンス力のいずれも高水準。
とりわけ目立つような“突出した弱点”がなく、攻守のバランスが非常に優れた選手です。

ブロッキングを中心とした堅実なディフェンスに加え、前に出てプレッシャーをかけることもでき、安定感と粘り強さを併せ持っています。
戦う側からすると、非常に攻略が難しい相手です。

オリンピック銅メダリストが持つ“土台の強さ”

アフマダリエフ選手は、2016年リオデジャネイロ五輪の銅メダリストでもあります。
アマチュアで勝ち上がるには、テンポの速い攻防や駆け引き、的確な判断力が不可欠です。

その経験を活かしてプロでも14勝11KO、1敗という戦績を残しており、実力の裏付けは十分です。
試合の中で相手の動きを読む力や、ペースをコントロールする技術にも長けています。

前哨戦（vs カスティージョ）の内容と評価

2025年5月31日に行われた前哨戦では、アフマダリエフ選手がルイス・カスティージョ選手に8回TKO勝利を収めました。

ただ、内容に関してはやや慎重に映る場面もありました。
強打をあまり振るわず、ジャブとディフェンスを軸に組み立てていた印象です。

左手をあまり使っていなかったため、拳を痛めていた可能性もあると見ています。
しかしながら、全体を通して安定感のあるボクシングを展開しており、被弾も少なく、崩れそうな場面も見られませんでした。

井上尚弥とのスタイル相性と試合のポイント

アフマダリエフ選手は、ガードとステップを活かしたプレッシャースタイルです。
例えるなら、ロマチェンコのように空振りさせるステップワークと、強いフィジカルを活かしたより強固なブロックで圧をかけてきます。

そのため、井上選手としては攻撃を当てやすい展開にはなるかもしれませんが、問題はそこからです。
ガード越しにパンチを当て続けたとき、アフマダリエフ選手がどう感じるか。

逆に、崩れない相手に対して井上選手がどう感じるか。

試合の中で「効いた」「効いていない」の手応えをどちらが先に掴むかが、大きな分かれ目になると予想しています。

序盤は探り合い、中盤以降が勝負の時間帯か

試合の序盤は、お互い距離を取りながら慎重に探り合う展開になると見ています。
アフマダリエフ選手はジャブとブロッキングでプレッシャーをかけ、井上選手はスピードを活かしてジャブとワンツーで迎撃する流れになるでしょう。

特に鍵を握るのはスピードです。
井上選手の踏み込みとステップで先手を取り、アフマダリエフ選手がどれだけそれに対応できるかが焦点となります。

前半はお互いに大きく崩れず、集中力の高いラウンドが続くと考えられます。

試合が動くのは「9〜10ラウンド」と予想

試合が動くとすれば、中盤以降だと思います。

アフマダリエフ選手はガードを主体とするため、パンチを受け続けることで体力と反応が徐々に削られていきます。
一方の井上選手は、空振りさせるディフェンスが得意なため、消耗が少なく、後半にかけて優位性が増していくでしょう。

その結果、9ラウンドから10ラウンドあたりで井上選手がストップ勝ちする展開が最も可能性が高いと見ています。

アフマダリエフが勝つとすれば

アフマダリエフ選手が勝利する可能性は低いですが、ゼロではありません。
もし勝つとすれば、次のような展開になると考えています。

• 井上選手のパンチをガードで無効化し続ける
• ジャブとポジショニングで主導権を奪い、ポイントを積み重ねる

ただし、それには高い集中力と冷静な判断、絶対に崩れないガードが必要です。
現実的には、井上選手が試合をコントロールする展開が濃厚でしょう。

中谷潤人との対戦に向けて、落とせない一戦

中谷潤人選手のスーパーバンタム転向が予想される中、井上選手としてはこの試合を落とすわけにはいきません。

アフマダリエフ選手はこの階級における“最後の関門”とも言える存在です。
ここを突破し、次なるビッグマッチに向けて勢いをつけることが求められます。

まとめ

• アフマダリエフ選手は“崩しにくさ”が最大の強み
• スタイル的に井上選手が先手を取りやすいが、油断は禁物
• 中盤以降、9〜10ラウンドでのストップ勝ちが本命予想
• アフマダリエフ勝利の可能性は限定的だが、無視はできない
• 日本ボクシング界にとっても注目の一戦

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