12月27日、サウジアラビア・リヤドで行われる
スーパーバンタム級ノンタイトル戦、
中谷潤人選手 vs セバスチャン・エルナンデス選手。
中谷潤人選手にとって、この試合は
スーパーバンタム級転向後の初戦となります。
すでに勝敗予想については別動画で触れていますが
今回は「直前だからこそ整理しておきたいポイント」、
- 不安要素はどこにあるのか
- どこを見れば“次につながる試合”か分かるのか
このあたりを、トレーナー目線でまとめていきます。
youtube解説はこちら👇
中谷潤人選手の印象は「変わらず強い」。ただし未知数もある
まず中谷潤人選手についての印象ですが、
基本的にはこれまでと変わりません。
やはり、強い選手です。
ただし今回はスーパーバンタム級の初戦ということで、
階級を上げたことによる
プラス要素、マイナス要素が
どのように出てくるのかは未知数です。
調整も含めて、
「これまで通りの中谷潤人選手なのか」
「何か違って見えるのか」
ここは実際に試合を見ないと判断できない部分であり、
同時に楽しみなポイントでもあります。
エルナンデス選手は「戦績ほど分かりやすくない相手」
対戦相手のエルナンデス選手については、
正直なところ、情報はそこまで多くありません。
映像をすべてチェックしたわけではなく、
1〜2試合ほどを見た印象になりますが、
まず感じたのは
「いかにもメキシカンらしい選手」という点です。
長身ではありますが、
その長身を最大限に生かした
ロングレンジ主体のボクシングかと言われると、
そうは見えませんでした。
戦績は20戦20勝18KO。
数字だけを見れば非常に優秀です。
ただ、
「この数字通りの圧倒的な強さを感じたか？」
と問われると、
そこまでの印象は正直ありません。
だからこそ、
この戦績が
・相手の質によるものなのか
・本当に突出した能力の結果なのか
そこはリングで確かめる必要があります。
不安要素があるとすれば「巻き込まれた時」
今回の試合で不安要素を挙げるとすれば、
やはり巻き込まれた時です。
エルナンデス選手は長身ですが、
ロングレンジで支配するタイプには見えません。
距離が近くなり、
接近戦の展開になった場合、
そこで何か起きる可能性はゼロではありません。
相性的に見れば、
ロングレンジの強さは中谷潤人選手が明らかに上です。
その点では、中谷潤人選手有利だと見ています。
ただし、
スーパーバンタム級初戦という条件を考えると、
これまでの感覚で
「もらっても大丈夫」「打ち返せば流れを取れる」
という戦い方は、ややリスキーになります。
1階級違うだけでも「体感はかなり変わる」
元世界王者の
内藤大助さんが
「1階級違うだけで全然違う」と話していましたが、
これは現場の感覚としても非常にリアルな言葉です。
バンタム級とスーパーバンタム級の差は約1.8kg。
数字だけ見ると小さく感じますが、
実際の体感はかなり違います。
減量が楽になることで体は一回り大きくなりますし、
当然、相手もその階級の身体をしています。
パンチの質、重さ、耐久力。
これらは同じ感覚で臨むと危ない場面が出やすい。
特に序盤は、慎重さが求められます。
今回は「テストマッチ的な入り」になる可能性が高い
前回の西田戦では、
中谷潤人選手は1ラウンドから距離を詰め、
かなり攻めた展開を見せました。
ただ今回は、
相手が接近戦を得意としていそうなタイプです。
そのため、
いきなり相手の土俵に行く可能性は低く、
ロングレンジからジャブやストレートで
プレッシャーをかける展開になると見ています。
1〜2ラウンドは様子見。
スーパーバンタム級での
フィジカル、パワー、耐久力を確認する
テストマッチ的な入りになるのではないでしょうか。
中谷潤人選手は「試合の中で作っていく選手」
中谷潤人選手の試合は、正直かなり読みづらいです。
「今回はこう来るだろう」と予想しても、
全く違うアプローチを見せることが少なくありません。
それだけ、
ボクシングの幅が広い選手です。
長身のサウスポーで、
ストレートだけでなく
フックやアッパーも使える。
肩にハマりすぎていない分、
パンチの角度も多彩で、
相手からすると非常に対策しづらいタイプです。
試合の入り方はある程度決めていても、
リングの中で相手を見ながら
戦い方を変えていける対応力があります。
20勝18KOという数字は「鵜呑みにできない」
KO率9割という数字は、
一見すると非常にリスキーに映ります。
ただし、
この手の戦績は
相手の質を見なければ判断できません。
過去には、
戦績通り本当にとんでもない強さを見せた選手もいました。
一方で、映像を見ると
「この内容でこの戦績なのか」と感じるケースもあります。
今回のエルナンデス選手は、
映像を見る限り、
特別な当て感や
飛び抜けた一発を強く感じたわけではありません。
これまで中谷潤人選手が戦ってきた相手のレベルを考えると、
総合力では中谷潤人選手が上だと見ています。
予想は中盤から後半のストップ勝ち
最終的な展開予想としては、
中盤から後半にかけてのストップ勝ちを想定しています。
中谷潤人選手は、
一発で終わらせるタイプというより、
ダメージを積み重ねていく選手です。
ガードの上からでも叩かれ続けると、
相手は確実に嫌になってきます。
パンチが非常に硬く、
手首がしっかり決まった打ち方をしているため、
見た目以上に効いているケースが多い。
階級を上げた初戦ということを考えると、
序盤は慎重に入り、
中盤以降に流れが動く展開が濃厚だと見ています。
一番の注目は「Sバンタム級での反応」
今回の試合で一番注目しているのは、
スーパーバンタム級での反応です。
被弾した時にどう見えるのか。
効いたのか、効いていないのか。
これまでと同じように対応できるのか。
もう一つはスピードです。
次を見据えるのであれば、
スピードは絶対に必要な要素になります。
階級を上げたことで、
中谷潤人選手のスピードがどう見えるのか。
そこは次戦を考える上でも重要なチェックポイントです。
新しい中谷潤人選手を見るための一戦
フライ級からバンタム級、
そしてスーパーバンタム級へ。
中谷潤人選手は、
階級を上げるごとに強くなってきた選手だと思います。
今回の初戦でも、
「新しい中谷潤人選手」を感じさせる場面が
見られる可能性は十分にあります。
まずはこの一戦をどう勝つのか。
それが、次につながるかどうかを判断する材料になります。
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【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位（東洋大）
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導
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