
2025年8月2日、後楽園ホールで行われた試合後に2人の選手が命を落とすという、非常に悲しい出来事がありました。
亡くなられた神足茂利選手、浦川大将選手に心より哀悼の意を表するとともに、ご家族や関係者の皆様に深くお見舞い申し上げます。
この事故を受けて、8月12日には日本ボクシングコミッション(JBC)と日本プロボクシング協会(JPBA)が緊急対策会議を開催しました。
「減量のやりすぎを防ぐ」「ジムでの管理を徹底する」「医療体制を強化する」
3つの方向性が示されましたが、現場の感覚からすると課題も多く残っています。
この記事では、ボクシングトレーナーとしての視点から
- どの対策を最優先にすべきか
- 「当日+10%ルール」の問題点
- 世界基準との公平性
- 医療体制や検査のあり方
- 減量とリカバリーの具体的な考え方
について、僕の考えを書いていきたいと思います。
youtube解説はこちら
事故を受けて発表された「3つの対策」

2025年8月2日に後楽園ホールで2人の選手が亡くなり、8月12日にJBCとJPBAが緊急対策会議を開きました。
そこで発表されたのは大きく3つの方針です。
- 減量のやりすぎを防ぐ(事前計量や水分チェック)
- ジムでの体調管理の徹底
- 医療体制の強化(救急車や病院との連携)
この中で、僕が最も重要だと考えているのは「医療体制」です。
医療機関との連携が最優先

ボクシングという競技の性質上、事故をゼロにするのは正直難しいと思います。
だからこそ「怪我をしたときに、いかに早く適切な治療を受けられるか」が鍵になります。
どんなに健康な状態で試合をしても、ダメージは避けられません。
大切なのは怪我が起きたときに
- 救急車がすぐ動くこと
- 搬送先の病院が決まっていること
- 対応できる医師が待っていること
この体制をどれだけ早く整えられるかが、選手の命を守る一番のポイントだと思います。
「当日+10%ルール」について

会見では「前日計量から試合当日までに体重が10%以上増えていたら、次の試合は上の階級に上げる」という案も出されました。
例えばバンタム級(53.5kg)の選手が翌日に約59kgになったら「もうバンタムじゃない」という扱いです。
ただ、これは一旦見送りになり「まずはデータを集める」段階にとどまりました。
現役時代の僕も7kgぐらい戻していました。
正直、戻す選手はどうしても戻してしまいます。
それを禁止すると「水分を我慢して脱水のまま試合に出る」危険性が出てくる。
これは本末転倒だと思います。
そしてボクシングは世界と戦う競技です。
日本だけが厳しい制限を設けてしまうと、世界の舞台で不利になる。
この点は選手から見ても受け入れられないと思います。
世界基準と公平性

SNSでも「日本だけ厳しくするのは不公平では?」という声が多くありました。
僕もその通りだと思います。
海外では軽量級でも10kg以上戻す選手は珍しくありません。
井上尚弥選手と戦ったマクドネルやドヘニーも、10kg以上戻してきたと言われています。
日本だけでルールを変えると、結果的に日本人選手だけがハンデを背負うことになる。
だからこそ、この問題は世界の団体と足並みを揃える必要があります。
ラウンド短縮と水分補給ルール

今回、OPBFやWBOアジア・パシフィックの地域タイトル戦は12ラウンドから10ラウンドに短縮されました。
これは良い判断だと思います。
試合時間が長くなればなるほど発汗が増え、脱水が進む。
後半ほどダメージが蓄積するので、短縮は妥当だと思います。
ただ、僕は「インターバル中に水しか飲めない」という現行ルールに疑問を持っています。
スポーツドリンクや経口補水液を認めれば、選手の動きも維持できて、後半でも質の高い試合ができるはずです。
救急体制とMRI検査

医療体制では、これまで世界戦だけ救急車を待機させていましたが、今後は通常の興行でも配置する方向です。
さらに受け入れ病院を増やす方針も報道されています。
僕は「救急車を常に会場に置いておくこと」「搬送先の病院と受け入れる先生を事前に決めておくこと」が最重要だと思います。
特に硬膜下血腫のようなケースでは、手術までのスピード が生死を分けるからです。
また、プロテストでの脳検査はCTからMRIに切り替える案が出ています。
費用面の負担は課題ですが、安全性を考えれば前向きに進めるべき取り組みだと思います。
ハイドレーション(水分チェック)

ハイドレーション検査は、尿の濃さを測って「体に水分が戻っているか」を確認する方法です。
僕は「リカバリーできていない状態で試合に出させないこと」が最も重要だと思うので、試合当日のチェックが有効だと考えます。
ただし尿検査だけでは脳まで水分が戻っているかは分かりません。
結局はデータの蓄積が必要になりますし、抜き打ちでの検査や医療機関との連携が不可欠です。
減量とリカバリーの考え方

計量直後は「水分補給を最優先」にすべきです。
経口補水液やスポーツドリンクで水分と電解質を戻し、消化の良いゼリーやお粥から始める。
試合までの1日半は、炭水化物中心で体を戻すのが基本です。
油分や重いタンパク質はエネルギーになりにくく、負担も大きいので控えた方がいいでしょう。
選手によっては牛肉やうなぎなど、ゲン担ぎとして食べる人もいます。
そういう意味では「食べたいものを取り入れる」ことも、メンタルを整える上では大事だと思います。
ジム・選手・主催者ができること

- ジム:ディフェンス練習やスパーリングの強度を見直すこと
- 選手:コンディションが悪いときに無理せず相談できる環境を作ること
- 主催者:医療体制の連携を最優先に整えること
日本のジムは「トレーナーの言うことに逆らえない」という空気がまだ残っています。
でも、戦うのは選手です。
選手が声を上げられる環境を作ることも、リング禍を防ぐために欠かせないと感じます。
まとめ

ボクシングは素晴らしいスポーツです。
だからこそ、選手が安心して全力を出せる環境を周りが整えていく必要があります。
業界全体で「選手第一」を徹底し、リング禍を少しでも減らしていくこと。
それが、これからのボクシング界に求められる姿勢だと僕は思います。
技術は練習を続ければ伸びていきます。
でも、結果が出せるかどうかは“考え方”や“向き合い方”で大きく変わります。
「このままでいいのかな」「もっと成長できるはずなのに」
そんなふうに感じた時は、一度マインドを整える時間を取ってみてください。
僕もこれまで、そういうタイミングを経験した選手たちを何人も見てきました。
必要なのは、迷った時に支えになる考え方と、前を向く力です。
自分をもう一段階引き上げたいと思った時は、こちらもぜひ参考にしてください。
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【この記事を書いた人】
アマチュア実績全国3位(東洋大)
元プロボクサー
世界ランキング最高7位
第43代OPBF東洋太平洋バンタム級王者
ボクシング特化型パーソナルトレーナー
世界・東洋・日本チャンピオン10名輩出
キッズボクサー全国チャンピオン5名輩出
キックボクサー世界チャンピオン指導
分析と戦略を丁寧に行い、完全カスタマイズされた指導法、機能解剖学を活かした根拠ある指導法を基に、勝利に直結する唯一無二のボクシングを提供しています。