こんにちは椎野です。
10月13、14日に東京・有明アリーナでボクシング界の注目が集まる7代世界タイトルマッチがいよいよ開幕します。
この一連の試合では、国内外の強豪選手たちが激突し、各階級の頂点を目指す熱い戦いが繰り広げられることでしょう。
WBA世界バンタム級タイトルマッチの王者・井上拓真(28=大橋)―同級3位・堤聖也(28=角海老宝石)戦を始め、WBC世界フライ級王座決定戦の同級1位・寺地拳四朗(32=BMB)―2位・クリストファー・ロサレス(29=ニカラグア)、WBA世界フライ級タイトルマッチの王者・ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)―同級15位・タナンチャイ・チャルンパック(24=タイ)戦、WBO世界ライトフライ級王座決定戦の同級1位・岩田翔吉(28=帝拳)―同級2位ハイロ・ノリエガ(31=スペイン)戦といったトップ選手たちが登場するこのタイトルマッチでは、スピード、技術、そして緻密な戦略が勝敗を左右することと思います。
今回はその1日目、10月13日に行われるボクシングマッチの各試合の見どころと、勝敗の行方を予想していきます。
- この記事を書いた人
- 元プロボクサー
- 世界ランキング最高7位
- 東洋太平洋タイトル獲得
20年以上のボクシングキャリアを活かし
- ボクシング特化型パーソナルトレーナー
- トレーナー育成講師
- プロ専門ボクシングトレーナー
として活動しています。
担当した選手がチャンピオンベルトを獲得した数は10本以上。勝率はプロボクシング界の中でもトップクラス。
ボクシング好きなあなたに役立つボクシング情報を発信していきます。
プロボクシング7大世界タイトルマッチ1日目:展望と勝敗予想|「ボクシング・Prime Video Boxing10」(10月13・14日、有明アリーナ)
井上拓真 vs. 堤聖也: スピードと技術が鍵を握る一戦
まず1日目のメインイベント、井上拓真選手と堤聖也選手の対戦について。多くの方が記憶に残っているのは、堤選手が穴口選手と繰り広げた激戦でしょう。個人的に、堤選手は生物的に強い印象があり、非常に評価が高い選手です。
対する井上拓真選手はスピードと技術において相当レベルが高いので、"鉄壁のチャンピオン"という印象です。
ボクシングのスキル面では井上拓真選手が上回っているので、この試合では、堤聖也選手がどれだけ井上拓真選手のペースを乱して戦えるかがポイントとなると思います。予想としては井上選手の判定勝ちの可能性が濃厚。堤選手もその生物的な強さで粘りを見せることが期待されます。
もし堤選手が勝つとしたら、早い段階でペースを握って井上選手のペースを乱し、それに対応してくる井上選手に策を変え、スイッチしたり、色々な戦い方を12Rやりきった場合でしょう。1番は井上選手のスピードを堤選手がどう対処するのかがポイントになると思います。
僕は堤選手の生物的な強さ、人間力というところで、好きな選手なので頑張ってほしいと思います。
予想としては7:3で井上選手の勝ちですが良い試合になると思います。
寺地拳四朗 vs. クリストファー・ロサレス: 階級アップで力を発揮
寺地拳四朗選手がライトフライ級からフライ級に階級を上げ、ロサレス選手とのタイトル決定戦に挑みます。
フライ級に上げたということは拳四朗選手にとってはプラスでしかないと個人的には思っています。
ライトフライ級時代のキツイ減量を見ているので、階級を上げることによって拳四朗選手の実力がさらに発揮されると期待しています。
拳四朗選手はスーパーフライ級でも良いくらい体は大きいので、1階級上げたからといって減量が楽になるということではないと思いますが、今まで落としていた最後の1.3キロでも全然違うと思います。
この試合に関しては、拳四朗選手がいつも通りジャブでプレスをかけて後半に仕留めると予想しています。相性的には拳四朗選手にとって悪くない相手です。僕の中では過去に中谷選手や井岡選手と試合をしたフランシスコ・ロドリゲス・ジュニア ほどの脅威は感じません。
フライ級になることによって、拳四朗選手のポテンシャルがさらに上がり、中盤〜後半にかけて削ってストップ勝ちや左ボディでのKO勝利を予想しています。拳四朗選手の2階級制覇が現実になると思います。
岩田翔吉 vs. ハイロ・ノリエガ: 困難な相手に挑むライトフライ級世界戦
岩田翔吉選手とハイロ・ノリエガ選手のライトフライ級世界戦も注目の一戦です。岩田翔吉選手は技術的には優れているものの、ノリエガ選手はアマチュアボクシングの色が強い選手で、動きが多く、速い、そして止まらない、さらにはテクニックもある選手なので、やりにくいと思います。
勝敗予想としては五分五分。岩田選手のボクシングがハマればKO勝ちもありえますし、ノリエガ選手のテクニックに空回りさせられる可能性も十分あり、どちらが勝つかと言うと正直わからないというのが結論です。
岩田選手にとって、脅威な相手、強い相手なのかというとそれも違く、どちらかというと上手い、やりにくいというのが表現が正しいと思います。ノリエガ選手はKO率こそ低いですが、無敗でポイントの取り方や自分の勝ち方みたいなパターンを持っている選手です。
岩田選手がイライラして大振りになったり、力んでしまうとどんどんドツボにハマっていくと思うので、パンチを当てるまでの持っていき方が重要です。岩田選手は天才的な当て感がありますが、これに頼ると 空回りする可能性もあります。ノリエガ選手の技術を岩田選手の当て感で上回れば良いですが、序盤は良くても、だんだん慣れてタイミングも読んでくるようになるでしょう。そうなったら、打つ前のひと工夫が必要になってくると思います。
でもここは、判定でもKOでも、岩田翔吉選手に勝ってほしいなと、個人的には応援しています。
やりにくい相手にしっかり勝つことで、成長に繋がり、より強いチャンピオンになれるはずです。岩田翔吉選手頑張ってください。
ユーリ阿久井政悟vs. タナンチャイ・チャルンパック: KO防衛を目指す防衛戦
ユーリ阿久井選手が防衛戦に挑みます。前回、畠中健人選手からWBOアジアパシック王座を奪ったタナンチャイ選手が相手ですが、ここはやはりユーリ選手のKO防衛じゃないかと予想しています。
正直桑原選手よりやりやすいんじゃないかなと個人的には思っています。結構思いきりの良い攻撃はしてくるとは思いますが、ユーリ選手は世界チャンピオンになってかなり安定感が増していて、日本チャンピオン時代よりも実力は格段に上がっています。自信も相当ついているでしょう。
ユーリ選手がプレスをかけ、ワンツーを的確に当てていく展開が予想されます。実力差をしっかりと見せつけ、ユーリ選手の勝利は確実だと思います。
現在、ユーリ選手はフライ級のチャンピオンであり、拳四朗選手が階級を上げてきたり、アンソニー・オラスクアガ選手がWBOタイトルを獲得するなど、フライ級には実力者が続々と集まっています。本当はジェシー・ロドリゲス選手がフライ級にいたならば、彼が最も脅威だと思います。彼のように攻撃力もあって機動力もある選手は、正直ユーリ選手との相性はあまり良くないと思っています。
今回の対戦相手であるタナンチャイ選手については、動画を見た限りではスピードはあまり感じられません。そうであれば、ユーリ選手が捕まえやすく、噛み合う試合展開になるのではないでしょうか。ユーリ選手の右ストレートでのKO勝ちに期待しています。
また、今後、拳四朗選手やアンソニー・オラスクアガ選手との統一戦も期待できるのではないかと思っています。ただし、それは陣営の判断や、バンタム級のようにフライ級を日本の選手たちで独占するか、統一戦を目指すかによって変わってくるでしょう。いずれにせよ、試合が終わってからの展開も楽しみにしたいと思います。